AIネイティブ時代の広告運用において、人間にとって魅力的なコンテンツを提供する他に、もう一つ大切な視点がある。それは「メディア側のAIに、いかに正しく賢い学習をさせるか」というものだ。
「広告の配信調整やターゲティングなどの作業は、すでに人間では到底処理しきれないほど膨大な量のデータをもとに、AIが最適化を図っています。もっとAIを信じて、任せたほうがいい」としたうえで、石渡氏はAIのパフォーマンスを高めるために人間がやるべきこととして、次の2つを挙げた。
運用型広告では、ユーザーがアプリやWebサイトを訪れた後の行動履歴をメディアへ送り返すことで、AIが「どのようなユーザーをこの広告主の広告に当てると成果が出やすいのか」を学習していく。
しかし、具体的にどのようなデータをメディア側のAIに渡せているのかを正しく把握できていないと、本来届けるはずのデータが届かず、結果として広告配信の精度が下がり、パフォーマンスの悪化にもつながりかねない。
メディア側のAIに、自社の広告の価値を正しく評価させ、質の高い最適化をさせるには、データの流れをしっかりと理解し、漏れなく全量のデータを渡すためのデータ設計にすることが重要だ。
とはいえ、自社の保有する全てのデータをメディアに返すのは現実的に不可能なため、AIに広告の成果として学習させるコンバージョンをどう定義するかも、重要なポイントだ。
その際「このコンバージョンが増えれば、事業のKGI(売り上げ・利益率など)に近づける」という明確な因果関係が求められる。
また「アプリインストール後、24時間以内の初回購入」や「広告をクリックしてから1時間以内の商品購入」など、短期間で結果が分かるものをコンバージョンに設定することも大切だ。仮に「ユーザーの年間総購入額」(LTV)や「1年後の退会率」など、結果が出るまでに長い期間がかかる指標をコンバージョンにしてしまうと、“今どの広告を出すべきか”をリアルタイムで判断しているAIの学習に役立てられないからである。
こうしてCVRやCTRを高める運用を極めても「許容できるCPA」(1件あたりの獲得コスト)の上限が低ければ、競合との“良い広告枠”の奪い合いに勝ち続けることは難しい。
「最終的には、プロダクトの改善や価格設定、マネタイズ構造そのものにまでマーケターが踏み込み、事業全体の許容できるCPAを引き上げていく必要があるだろう」と両氏は語り、セッションを締めくくった。
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