日本のポイント市場で、メインで使われるポイントの入れ替わりが進んでいる。野村総合研究所(NRI)が2025年12月に全国1万人を対象に実施した「決済・ポイント実態調査」(※)では、PayPayポイント、楽天ポイント、dポイント、Pontaポイント、Vポイントの5大共通ポイントの立ち位置に、はっきりとした差が表れた。
※野村総合研究所「決済・ポイント実態調査」:2025年12月に全国18〜79歳の男女1万人を対象に実施したWebアンケート
「新規獲得者」の割合と「1年定着率」の2軸で見ると、PayPayは流入と定着の両方で先を行く。楽天はロイヤル比率ではトップに立つものの、新規の獲得はやや控えめ。Vポイントは新規の流入こそ最大級だが、定着率では5社のうち最も低い。市場全体が伸びを保つなかでも、各陣営が抱える課題は各社各様だ。
今、共通ポイントのなかで最も勢いがあるのはPayPayポイントだ。新規にメインで使い始める人が多く、しかも始めた人が翌年もメインで使い続けている。普通は新規が伸びる時期は離脱も増えがちだが、PayPayはその両方を伸ばしている。
PayPayポイントは「新規メイン獲得者」の割合と「1年定着率」の2軸プロットで、最も右上に位置する。NRIも「(PayPayは)新規流入者割合と定着率が高く、新規メイン利用者数を最も増加させている」と整理する。
背景には、決済としてのPayPayの広がりがある。コード決済利用者シェアでPayPayは約40%を記録。2位以下を大きく引き離している。NRIは「使えるお店が圧倒的に多い」ことを挙げ「日常的にアプリを立ち上げるという、いってみれば訓練を(利用者は)長年やってきて、それが生活者に定着している」と分析する。アプリを開くクセそのものが資産になっているわけだ。
加盟店の広がりは「決済を使うこと」と「ポイントを貯めること」の一つの流れを生み出しつつある。アプリを開く場面とポイントが貯まる場面が、日常のなかで一体になっている。さらにドラッグストアの薬王堂のように、決済手段にかかわらずPayPayポイントが貯まる店も登場した。
だが、足踏みしている点もある。決済とポイントを合わせた経済圏全体では、楽天が頭一つ抜けており、前年と比べるとさらにそれは強固になった。PayPayは伸びの勢いは「ダントツ」だが、順位という意味では楽天を超えられていない。
現時点で“最強”なのは、楽天カードと楽天ポイントだ。総合的な勢力では引き続き楽天が頭一つ抜けている。
楽天ポイントは認知・利用の両方でトップを保つ。アクティブユーザーに占めるロイヤルユーザー比率(積極的に貯めて使う層)は、5大共通ポイントで最大。経済圏としてメインポイント×メイン決済をかけ合わせたマップでも、楽天グループは一歩先を行く存在だ。
ただし、楽天の強さには陰りも見える。新規メイン獲得者の割合と1年定着率の2軸プロットで、楽天は両方とも低い位置にあり、新規流入と定着の両面で失速気味だ。
この失速の背景として、2つの見方ができる。1つは、シェアが非常に大きいがゆえに、キャッシュレスやポイントに前向きな層の需要をほとんど取り込んでしまい、残るのは、あえてキャッシュレスを使わない層になってしまったという構図だ。
もう1つは、楽天モバイルへのグループのキャッシュ投入が続いたため、楽天ポイントや楽天カードに回す原資が限られた、という見方だ。直近の伸びの鈍さは、その両方を反映している可能性がある。
NRIは「いまは無理に拡大をせず、マネタイズ、獲得できたお客さまの(自社サービス内での)回遊、クロスユースを強めようという時期に来ている」と話す。急成長期からマネタイズ期へ、ステージそのものが移行しつつある、というわけだ。
獲得した顧客の深掘りに重心を移した楽天が、新規獲得期にある他陣営との競争にどう向き合うかが、当面の主戦場になる。
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