単なる「原価上昇→価格転嫁」では失敗する! “納得感”のある値上げと、客離れを起こす値上げの本質的な違い(1/5 ページ)

» 2026年08月27日 05時00分 公開
[佐久間 俊一ITmedia]

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著者プロフィール

佐久間俊一(さくま しゅんいち)

レノン株式会社 代表取締役 CEO

グローバル総合コンサルファームであるKPMGコンサルティング、ベイン・アンド・カンパニーなどで小売業・消費財メーカーを担当。2022年3月小売業と消費財メーカーの戦略とテクノロジーを専門にコンサルティングするレノン株式会社を設立。著書に「小売業DX成功と失敗」(同文館出版)などがある。


 原材料費や物流費、人件費が上がれば、企業が値上げを検討するのは当然です。しかし、コスト上昇分の転嫁だけで利益を守れるとは限りません。

 顧客は原価高騰の事情に配慮することはなく、売場やEC上で実際に払う価格で判断します。コンビニ、ドラッグストア、スーパー、自動販売機、ECまで全ての販売チャネルが同一商品の比較対象です。

出所:ゲッティイメージズ

 所得環境は転換点にあります。厚生労働省の2025年分確報では、現金給与総額による実質賃金は前年比1.3%減で4年連続のマイナスでした。一方、同省が2026年8月5日に公表した6月速報では、現金給与総額は前年同月比3.4%増、実質賃金は1.6%増となり、実質賃金は1月から6カ月連続で前年を上回りました。

 したがって、2026年の日本を「実質賃金が上がっていない」と一括りにするのは正確ではありません。6月までの状況を見る限り、2026年は上昇傾向にあります。

 値上げの可否は所得環境の改善だけでなく、足元の競争価格と顧客が受け取る価値から判断する必要があります。

 そこで、2026年4月から5月、東京、大阪、福岡の自動販売機、コンビニ、ドラッグストア、スーパー、ディスカウントストア、ECで、同一飲料の価格を調査しました。ここから見えてきたのは、同じ商品でも価格は1つではなく、エリアとチャネルの組み合わせによって大きく動くという事実です。

 これは企業側も生活者側もある程度は認識していることかと思いますが、あらためて具体的な数字にしてみると、大きな差があることが分かります。

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