単なる「原価上昇→価格転嫁」では失敗する! “納得感”のある値上げと、客離れを起こす値上げの本質的な違い(2/5 ページ)

» 2026年08月27日 05時00分 公開
[佐久間 俊一ITmedia]

同じ商品でも価格差は約1.7倍のケースも

 最初にサントリー天然水(550ml)を見ます。調査をした店舗の価格の最高値は大阪の自動販売機で140円、最安値は大阪のドラッグストアの84円でした。同じ商品、同じ容量でありながら差は56円、最高値は最安値の約1.67倍です。

 重要なのは、地域差とチャネル差が同時に存在することです。自動販売機は福岡110円、大阪140円、東京120円で、最大30円差。スーパーも福岡88円、大阪96円、東京106円で18円差でした。一方、ECは楽天95円、Amazon85円、Yahoo!ショッピング91円で10円差です。同じチャネルで比較しても地域・調査先によって価格がそろわず、同様に同じエリアでも買うチャネルによって価格が変わります。

 この差を単純に「高い」「安い」と目先の価格だけで評価することはできません。自動販売機には冷えた商品をその場ですぐ買える価値があり、コンビニには他の商品との同時買い合わせという利便性があります。高い価格でも選ばれるのは、商品以外の付加価値があるからです。問題は、その価値を高めないまま価格だけを上げる場合です。

綾鷹では84円から186円――価格差は約2.2倍に広がる

 商品が変わると、価格差の大きさも変わります。

 綾鷹(650ml)の最高値は東京のコンビニの186円、最安値は大阪のドラッグストアの84円でした。差は102円、最高値は最安値の約2.21倍です。天然水の約1.67倍よりも価格差が大きく、特定商品の結果を飲料全体の相場として扱えないことが分かります。

 同一チャネルのエリア差も無視できません。コンビニは福岡153円、大阪165円、東京186円で最大33円差。ドラッグストアは福岡89円、大阪84円、東京116円で32円差です。ディスカウントストアも福岡88円、大阪107円、東京107円で19円差でした。全国一律に10円値上げしても、値上げ前の価格水準や周辺の選択肢が違えば、顧客が受ける印象は同じになりません。

 なお、ECが常に最安値とも限りません。綾鷹のEC価格は楽天110円、Amazon105円、Yahoo113円で、3エリアのドラッグストア最安値84円を21〜29円上回っています。

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