ITmedia ビジネスオンラインが2025年8月に公開した記事で、反響が大きかった記事を編集部が厳選して再掲する。初出は8月9日、文中の記述は掲載当時のまま。
慶應義塾大学法学部政治学科卒業(首席)、同大学院法務研究科修了後、2012年司法試験に合格。複数法律事務所で実務経験を積んだ後、2015年佐藤みのり法律事務所を開設。
飲食店の業務効率化支援を手掛けるダイニー(東京都港区)の実施した退職勧奨が、注目を集めている。同社はAI活用で業務効率化が進んだことを理由に、経営は順調であるとしながら退職勧奨を実施。CNET Japanの記事によれば、エンジニアやコーポレート部門の社員を対象に、30〜40人の退職勧奨を進めているという。同社代表取締役の山田真央氏も自身のnoteで、退職勧奨に至った経緯を説明している。
一方、SNSを中心に「法律違反なのでは?」といった声も上がっている。佐藤みのり弁護士に聞いた。
――そもそも退職勧奨とはどういったものなのでしょうか。
佐藤弁護士: 「退職勧奨」とは、企業が退職してもらいたい従業員と話し合い、自主退職を促すことです。退職勧奨は、あくまで従業員との交渉なので、労働法による規制がなく、比較的自由に行えます。ただし、強制的に退職を迫るなど、やり方によっては不法行為(違法なパワハラ)になってしまうこともあるので注意が必要です。
例えば、業務適性に欠ける従業員に対し、3回にわたり退職勧奨した事案で、2回目以降の退職勧奨を違法と判断した裁判例があります。裁判所は、退職勧奨を行うことは、「労働者の任意の意思を尊重し、社会通念上相当と認められる範囲内で行われる限り違法性を有するものではない」と認めています。その上で、説得のための手段、方法が相当な範囲を逸脱するような場合に違法になるとしています。
以上を踏まえ、この事案について、1回目の退職勧奨は、
などを踏まえ、社会的相当性を逸脱しておらず、不法行為(違法なパワハラ)とはいえないとしました。
一方、2〜3回目の退職勧奨は、
ことも踏まえ、社会的相当性を逸脱した不法行為(違法なパワハラ)と認めています(東京高裁2012年11月29日判決、原審東京地裁2011年10月31日判決)。
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