9月3日には、HMAXをはじめとするフィジカルAIの実装を支援する伴走型エンジニアサービス「Physical AI FDE」(FDE:Forward Deployed Engineer、前線配置エンジニア)も発表した。FDEだけでなく、コンサルタントやデータサイエンティスト、セキュリティエンジニアなどがチームを組んで顧客を支援する体制が特徴だ。
日立製作所の吉田順氏(HMAX&AI推進センター本部長 DeputyHead of AI CoE)は「一般的に、FDEは1人でスーパーマンのように動くように思われる。しかし、フィジカルAIはさまざまな知識が必要だ。1人で全てをできないため、チームでやるべきだ」と話した。
「工場での困り事は顧客ごとに異なる。課題を追求するには『FDE的なもの』が必要だと感じており、世の中のキーワードになっていたためPhysical AI FDEという名前にした。ただし、報道で『なんちゃってFDE』(※従来の常駐型SEやITコンサルタントの看板だけ変えたようなサービスをやゆする表現)という言い方がよくある中、日立として『これはFDEだ』と胸を張って言えるものを出したい。ドメイン知識を生かしてHMAXを提供し、お客さまの革新を支援したい」(吉田氏)
AI時代、フィジカルAI時代の要請に沿った新サービスを打ち出した日立製作所。その内容はどのように決めたのか。黒川氏は、AI分野の動向が速いため、これらの領域に取り組むことを1年前には予見できなかったと語った。
「2026年を振り返るだけでも、2月は『Geminiが一番良い』といわれ、3〜6月には『Claude Mythosでしょ』となった。これを1年前に想像できた人は誰もいない。日立では、四半期ごとに世の中で必要とされているものを考えている。交通、エネルギー、産業など各事業領域で価値を出せるものを考えた結果(として今回の新サービスが決まった)といえる」(黒川氏)
日立製作所の佐佐木秀貴氏(HMAX事業推進室長 HMAX Data Fabric兼HMAX AI Operations担当 マネージド&プラットフォームサービス事業部長)は、1年前は交通、エネルギー産業など領域特化型のHMAXを「縦方向」に拡大していたと振り返った。今回は「横方向」のサービス拡大を意識したという。
「縦にフォーカスして価値を出すだけでなく、横をつないでさらなる価値を出す。そのために何が必要か考えると、データやセキュリティをしっかりやることになる。戦略を立てても変わるため、アジリティー(機敏さ)によってグループ全体で議論して優先順位を決めている」(佐佐木氏)
日立製作所は、HMAX事業の売り上げが2026年度末に5000億円、利益率は22%に達すると見込んでいる。フィジカルAIへの注力とサービスの拡充によって、さらなる成長をつかむと同時に、顧客や社会の課題を解決できるか。
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