今押さえたい「半導体」の基礎知識 極小チップが“AI時代の戦略物資”になった、納得の理由『図解で深掘る きちんとわかる 半導体』(2/2 ページ)

» 2026年09月23日 08時00分 公開
[ずーぼITmedia]
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半導体が「AI時代の戦略物資」とされる理由

 ここ数年で半導体の重要性を決定的なものにしたのがAIの台頭です。半導体の高性能化が膨大なデータの高速処理を可能にし、複雑な深層学習(ディープラーニング)を物理的に支えています。

 「ChatGPT」に代表される生成AIの登場や、実写と見分けがつかないレベルの画像・動画作成が可能になったのも、半導体の進化があったからこそと言っても過言ではありません。

 こうした例からも分かる通り、私たちが意識することなく享受している利便性の裏側には、常に半導体による精密な制御が存在しています。

 近年、世界的な半導体不足によって自動車や家電の納期が大幅に遅れたことは記憶に新しいでしょう。このような出来事は、半導体がもはや数多くの部品の中の一つにとどまらず、現代社会という巨大なシステムの存続を支える戦略物資であることを証明しました。

 半導体の供給が止まることは、私たちの現代的な生活そのものが停止することを意味します。その重要性は、今後さらに増していくことは間違いありません。

半導体は7領域に分けられる 役割の違いは?

 半導体と一言で言っても、その種類と役割は多岐にわたります。WSTS(世界半導体市場統計)の定義によれば、半導体は大きくICと非ICに分けられ、さらにそこから合計7つの領域に細分化されます。

 まずICは、特定の演算を行うロジック、汎用(はんよう)的な制御を担うマイクロ、情報を記憶するメモリ、アナログ信号を扱うアナログの4つです。

 一方の非ICは、光関連のオプト、電力制御等を行う個別の半導体素子であるディスクリート、情報を検知するセンサーの3つに分類されます。

 このように統計上は7分類となりますが、現代のビジネスを読み解く上では、これらを実態に合わせて再編した4つのカテゴリーで捉えるのが有効です。

「ロジック半導体」「メモリ半導体」って何だ

 1つ目は人間の脳に相当するロジック半導体です。WSTSの定義におけるロジックとマイクロを合わせた領域で、データの演算処理を一手に引き受けます。

 PCの頭脳であるCPUやスマートフォンのアプリを実行するための半導体であるアプリケーションプロセッサ、さらにはAI学習に欠かせないGPUなどがその代表例です。回路の微細化競争が激しく、莫大なコストを要する最先端分野の主戦場です。

 2つ目は情報の記録を担うメモリ半導体です。一時保管用のDRAMと長期保存用のNAND型フラッシュメモリが二大製品であり、需給バランスによる価格変動が大きいものの、データ社会の基盤として不可欠です。

 3つ目は音や温度などのアナログ信号とデジタルデータを変換するアナログ半導体です。IoT時代においてセンサー情報を処理する必須の存在として価値が見直されています。

 4つ目は電力の制御や変換に特化したパワー半導体です。家電の省エネ化やEV、さらにはAIデータセンターの高度な電力管理など、高電圧・大電流を扱う過酷な環境での高い信頼性が求められます。

 これら4つのカテゴリーは市場の成長スピードも競合プレイヤーも異なるため、どの分野でイノベーションや投資が進んでいるかを見極めることが今後の業界動向を味方につけるカギとなります。

photo WSTSにおける半導体の分類(出所:『図解で深掘る きちんとわかる 半導体』)

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著者:ずーぼ

 半導体プロセスエンジニア。現在は半導体工場で働きながら、半導体業界の情報をブログ、YouTubeで発信する。YouTube「半導体業界ドットコムch」は登録者数2万人を超える。


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