企画や商品を実際に動かしてみると、思っていたのとは少し違う“数字”が見えてくる。売り上げだけでなく、どの時間に売れたか、どんな組み合わせで選ばれたかなど、現場ならではの動きだ。本特集では、実際に試してみたことで分かったことを手がかりに、仕事の中に隠れている小さな発見を拾い上げていく。
広告を見ると、水がもらえる。そんな自動販売機が、東京の上野に登場しました。
「ADWATER(アドウォーター)」というサービスで、9月21日から本格稼働しています。上野のカラオケ館前に設置し、約15秒の動画広告を最後まで視聴した人に、岐阜県高山市の天然ミネラルウオーター420ミリリットルを1本提供しています。会員登録やアプリ、決済を必要としないのが特徴です。
広告を視聴してもらう代わりに、水を提供する。考えてみれば、ずいぶん分かりやすい仕組みです。
開発したのは、スタートアップのGenectBox(ジェネクトボックス、東京都港区)。社長の長坂基史さんが、このサービスを考えたきっかけも、広告への違和感だったそうです。
広告は、ときに一方的に見せられるものです。だったら、広告を見た人に何か価値を還元できないか。そこで考えたのが「水」でした。誰にとっても使い道があり、もらって困る人も少ないからです。
実際に約1000人にアンケートを取ったところ、「広告を見ると水がもらえるなら利用したい」と答えた人は88%。この結果を見て、事業化に踏み切りました。
とはいえ、サービスを始めるまでには大きな壁がありました。「自販機を数台だけつくってほしい」とメーカーに相談しても、自販機は通常、1000台、1万台といった大量発注が求められます。数台だけの製造を引き受けてくれるメーカーは、なかなか見つかりませんでした。
何十社も当たった末、ADWATERの構想と将来性を熱心に説明したことで、少ない台数から製造してくれるメーカーが見つかったといいます。
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