国産AI開発「ラストチャンス」の局面へ ノエトラが「44社が出資・国が最大1兆円支援」の追い風を背に向かう先(2/3 ページ)

» 2026年10月05日 07時00分 公開
[小林暢子,ITmedia]

日本のお家芸「産業用ロボット」「現場データ」が強みになるか

 一方、技術や市場が成熟しつつあるLLMと対照的に、ロボットや機械を自律的に動かすフィジカルAIはまだ黎明(れいめい)期にある。AI開発は、計算資源とデータの規模が競争力を左右するため、少数の有力プレーヤーに収束しやすい。勝者がまだ決まっていないフィジカルAIこそ、Noetraが主導権を握りたい本丸であり、日本がAI開発の運転席に座る「ラストチャンス」でもある。

 高市政権は、AIロボット産業で「世界シェア3割超の獲得を通じて、2040年に20兆円の市場獲得を目指す」という目標を掲げている。産業用ロボットは日本のお家芸で、フィジカルAIに欠かせない現場データの蓄積にも強みがある。Noetraの狙いは、LLMで米中に追い付きつつ、現場データを生かすフィジカルAIで勝機をつかむことだと考えられる。

国内のAI基盤、GPUは米NVIDIA製 どこまで「国産」追い求める?

 Noetraは、国産AIの開発に向けてGPU(画像処理半導体)を約2万7500基搭載した「AI計算基盤」を構築し、2028年6月に稼働させる予定だ。このように、自国や自社でAIモデルやAIインフラを整備し、他国に左右されにくい形で利用・管理できる「主権AI」(ソブリンAI)が注目されている。

 とはいえ、同社はAIを構成する部品の全てを国産で賄うわけではない。AI計算基盤に使うGPUは、米NVIDIAの「NVIDIA Rubin GPU」だ。「国産AI」といっても、計算処理の心臓部は米国製に頼る。主権とは、全てを自前で持つことではなく、止められても困らない部分をどれだけ持てるかの問題なのだろう。

 国産の肝は、日本のものづくりを担う出資企業44社から集める製造業の現場データや知見だ。基盤モデルの構築には中核4社や他の出資企業から人材を集め、100人の開発体制で当たる。

 官民を挙げてのデータ収集プロジェクトも動き出した。7月には、DMG森精機とコマツが産総研の枠組みを使い、産業機械にメーカー横断の共通IDを付け、データを集める取り組みが発表された。約100社に参加を呼びかける。構築するデータセットは、Noetraのような国産AI開発企業への提供を想定しているという。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR