丹波社長によれば、Noetraが作るのは、企業が実際に使うAIの土台となる「母艦モデル」だ。技術的には「マルチモーダル基盤モデル」といい、言語や画像、音声、実空間の情報などをまとめて扱えるAIの基盤を指す。これをフィジカルAIにも活用する構想だ。
Noetraと産総研は、学習済みの重みを国内の開発者や事業者に広く提供する方針だ。一方、学習データの開示範囲や提供条件は示されていない。丹波社長は「透明性と安全性」を差別化点に挙げるが、その中身はこれから問われる。
Noetraの挑戦、その成否は、出資企業44社が人材とデータを出し合い、その見返りが現実のものとして持続的に回るかに懸かっている。Noetraの基盤モデルが、国内の“基準となるモデル”として使われ続けるには、汎用(はんよう)性や自己改良性に加え、機微な領域に踏み込まないデータ収集の仕組みと、データを提供する企業への収益面の具体的なインセンティブが要るだろう。
ヒューマノイドで先行する中国は、フィジカルAIを含むAIエコシステムを作りつつある。Noetraの道は決して易しくない。
AIは、フィジカルAIの登場によって、さらに社会に浸透していくだろう。だが、LLMにせよフィジカルAIにせよ「魔法のように便利になればブラックボックスでも構わない」というわけにはいかない。モデルの出自と、モデルが学ぶデータの出どころを知って使うことが欠かせない。
国家にとっては、モデル開発とデータの主権を部分的でも握ることが経済安全保障につながる。企業にとっては、Noetraのような信頼できる基盤モデルを土台に独自のAIを作ると同時に、質の高いデータを国産AI開発のために提供することが責務になるかもしれない。関わるのは製造業だけではない。防衛はもちろん、医療や物流にも広がるだろう。経営者にとって、決して無関心ではいられない問題だ。
国産AIのノエトラ・丹波社長「今からでも1位を取れる」 挑むは“母艦モデル”開発、国内基盤での提供 勝ち筋は
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