長引くコロナ禍の影響は、人々の生活様式を変貌させた。それはビジネスパーソンの働き方もしかり。「働く場所=会社のオフィス」が当たり前だった世界は消え、テレワークが浸透した現代では、オフィスだけでなく自宅、コワーキングスペース、シェアオフィス、カフェに至るまで“働く場”は多様化している。
この連載では、“働く場”の再定義が余儀なくされた現代において会社がどう対応するべきか。先進的な取り組みを行う企業を紹介していく。
フルリモートから原則週3日出社のハイブリッドワークへとかじを切ったLINEヤフー。本社の紀尾井町オフィスだけでは全従業員の収容が難しくなった同社は、2026年5月に新オフィスをオープンした。
出社回帰に対し社内外からさまざまな声が寄せられる中、新オフィスを作るため、同社は全部署横断の「オフィス分科会」を設立。1年以上にわたるプロジェクト期間を経て、従業員が出社しやすいオフィスを考え抜いたという。同社の新オフィスから見えてくるのは「出社を楽に」というキーワードだった。
「今までフルリモート勤務だったわけですから、出社回帰に反発する社員がいる気持ちも分かります」――こう話すのは、新しいオフィスづくりの中核を担ったLINEヤフーの佐藤晋平氏(デザイン統括本部)だ。同氏は、それでも出社して、対面で仕事する価値があると強調する。
同社は、在宅で仕事をするときの気軽さや心地よさを新オフィスに再現した。一体どのような工夫をこらしたのか。新しいオフィスづくりをリードした、佐藤晋平氏と坂口卓氏(人事総務CBU 総務ユニット ユニットリード)に話を聞いた。
東京メトロ「溜池山王駅」を降りてすぐの赤坂トラストタワーに、LINEヤフー新オフィスはある。16フロア約5万4000平方メートルの広大なスペースで、約7000人が働いている。
14階のエントランスでは、同社オリジナルキャラクターの「ブラウン」「けんさく」たちが出迎える。飛躍をイメージした「イノベーションエッジ」と呼ばれる角度(62度)が、エントランスのベンチや照明のデザインなどで随所に見られた。
同社は2025年4月にフルリモートを廃止した。2026年4月1日には出社回数を原則週3回に引き上げると発表。働く場所がオフィスへ戻る中で新たな拠点が必要となった。
新オフィス立ち上げのプロジェクトがスタートしたのは、2025年1月にさかのぼる。全部署から代表者が集まったオフィス分科会での全3回のワークショップを皮切りに、週2回ほど集まってキーワードやコンセプト設計、機能面について議論した。その中で浮かび上がってきたのが「出社を楽に」というキーワードだ。
「リモートワーク中の自宅の快適さに、オフィスは敵わない面もある。ただ、働きやすさという点で考えると、オフィスに行けば同僚との顔を合わせた会議、雑談を兼ねたコミュニケーション、一緒に昼食を取るといった体験ができ、その結果、仕事の質や満足度の向上につながることがあります。機能面では出社をラクにすることを意識し『生活の動線の先にオフィスがある』空間になるようなデザインを心掛けました」(佐藤氏)
オフィス分科会の中で、エンジニアやデザイナーからは「デュアルモニターや昇降デスク、仕切りがほしい」という声が、営業からは「コミュニケーションが促進されるような場がほしい」などさまざまな意見が出された。それらをまとめ「Talk」(親しみ・共創)、「Boost」(革新性・創造)、「Easy」(分かりやすさ・快適性)という3つのキーワードを基に新オフィスを設計したという。
それでは早速オフィスの中身を見ていこう。
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