──モンゴルの人々にとって日本で働く、日本で学ぶことの魅力は?
今の日本の強みは「安全」「安心」「安い」。この3つの「安」だと思います。それしかないとも言えます。
給料だけを比べれば、日本がいいわけではありません。モンゴル人が海外で働く先としては、米国やオーストラリア、ヨーロッパなどがまず候補になります。
その次にシンガポールやマレーシアがあり、さらに近い国で考えると日本、中国、韓国などが候補になる。その中で日本には、安全で安心して暮らせるという強みがあります。
親にとっても、子どもが留学先で安全に暮らせることは大きい。学費も米国などと比べれば安い。そういうところは日本の魅力だと思います。
こうした環境の中で、日本で働くモンゴルの人々にとって学びになると思うのは、日本のものづくりの部分です。トヨタの生産方式などがその代表です。
逆に、情報通信産業については、日本がモンゴルから学ぶところもあると思います。日本は完璧さを求めるあまり、社会実装までに時間がかかる。一方、モンゴルはある程度できた段階で動かしてみる。
お互いに学べるところはあると思います。
北はロシア、南は中国に挟まれた内陸国であるモンゴル。両国との関係性を重視しつつも、国境を接していない日本や米国を「第三の隣国」と位置付けてバランスを取った外交政策を進めている。
海に面していないモンゴルにとって「第三の隣国」との接点は空港になる。日本とモンゴルの両政府は9月、モンゴル唯一の国際空港「チンギス・ハーン国際空港」の拡張を日本が支援することで合意した。旅客数や貨物量の需要増に対応し、両国のさらなる関係性強化が期待されている。
参考:
モンゴルに対する円借款「チンギス・ハーン国際空港拡張計画」に関する書簡の交換/外務省
──中村さんは青年海外協力隊員としてモンゴルに赴き、23年間にわたってモンゴルと関わってこられました。これまで印象に残っているモンゴルの言葉はありますか?
モンゴル語で「テンゲル・シグ・バイ」(Тэнгэр шиг бай)という言葉があります。「天のようにあれ」という意味です。
「テンゲル」(Тэнгэр)は空、「シグ」(шиг)は「〜のような」、「バイ」(бай)は「〜であれ」という意味です。
大きな空のような、広い心であれ。細かいことを気にするな、というような意味合いがあります。
モンゴル人にとって、天というものはとても重要です。モンゴルの大きな空のようにありたい。僕自身も、時々この言葉を思い出しています。
日本で働く外国人に対して、日本のやり方に合わせてもらうことを求める場面もあると思います。でも、僕は「郷に入ったら郷に従え」という言葉を、僕たち迎える側が言ってしまうと傲慢(ごうまん)になると思います。
日本で働こうと思って来てくれる人自身が、日本の文化に合わせようと思うのはいい。でも、迎える側が一方的にそう言ってしまってはいけないと考えています。
お互いに学び合える関係をつくっていくことが大切だと思います。
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