普段私たちが当たり前だと思っている仕事の進め方や職場の空気。でも、海を越えてやってきた同僚の目には、それがちょっと「不思議な光景」に映っている可能性も。日本で働く海外出身者の視点を通して、日本企業の「意外な横顔」をのぞき見ながら、これからの働き方について考えてみたい。
日本で働く海外出身者にとって、日本の企業風土や仕事の進め方はどのように映っているのだろうか──。
その特徴を「メリハリ」や「守破離」という言葉に学んだと語るのは、台湾出身のUIデザイナー、蔡漢翔(サイ・カンショウ)さん(37)。現在、デザイン会社グッドパッチで7人のチームを率いるマネジャーも兼務しながら、自動車関連サービスなどのUI/UXデザインを手掛けている。
台湾企業と日本企業、それぞれで働いた経験を持つ蔡さんは、最適解を早く見つけ出すことが得意な台湾と、基礎の積み重ねが根付く日本──といった双方の特色を挙げ、それぞれが互いに学び合える領域があると語る。
前回の記事:「報連相より結果が大事」 台湾人が日本企業に抱く“カルチャーギャップ”とは?
蔡さんは台湾の高雄市出身。大学卒業後は台湾の電子機器メーカーでプロダクトデザイナーとして約1年半勤務した。
学生時代には日本の大学とのワークショップなどに参加した経験があり、日本のデザインへの関心は以前から高かったという。
「日本のデザイン業界で一度働いてみたいという思いがありました。プロダクトデザインを続ける選択肢もありましたが、別の可能性にも挑戦してみたかったんです」
25歳で来日し、日本語学校を経て慶應義塾大学大学院へ進学。大学院時代、先輩の紹介でグッドパッチのサマーインターンに参加したことが転機になった。
もともとハードウェアデザインを専攻しており、UIデザインは未経験だった。しかし実際に取り組んでみると、自分の性格や志向に合っていると感じ、2016年に同社に入社した。
現在はプレイングマネジャーとしてマネジメントとデザインの両方を担い、体験設計からUIデザインまで幅広く携わっている。
台湾企業を経験して来日した蔡さんが最初に驚いたのは、日本企業の新人育成だった。
「日本では新入社員に対するケアが手厚く、失敗する余地を与えてくれます。会社を総動員して育てようという雰囲気を感じました」
台湾でも上司から仕事を教わることはあったが、日本では、特定の上司だけではなく、周囲のメンバー全員が新人を支え、成長の機会を与えてくれる姿勢が印象的だったという。
台湾では新卒であっても、比較的早い段階から「一人の戦力」として扱われることが多い。だからこそ、チーム全体で新人を育てる日本の文化は新鮮に映った。
もう一つ、意外だったのは会社の雰囲気だ。
来日前は、日本企業といえば上下関係が厳しく堅い職場を想像していた。「ドラマなどを見て日本企業はもっと堅いイメージを持っていましたが、実際は全然違いました」と蔡さんは振り返る。
創業間もないベンチャー企業だったグッドパッチには、そのイメージは当てはまらなかった。
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