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「人工雷」で肥料を生み、キュウリでAIを育てる 福岡の100年商社「welzo」が挑む農業DX(3/4 ページ)

» 2026年10月09日 07時00分 公開
[河嶌太郎,ITmedia]

食料安保の危機を打ち破る「高電圧の人工雷」

 AIによる栽培環境の自動制御と並び、welzoの農業技術事業を支えるもう一つの柱が「肥料の国産化」であり、九州大と進める「プラズマグリーン農業」の共同研究プロジェクトだ。

 日本の農業は、作物に不可欠な窒素肥料の原料の97%以上を、海外からの輸入に依存している。内田課長代理は「肥料も含めた本当の食料自給率で言えば、日本は1%にも満たない状況です。海外からの供給が止められたとき、どれだけ自分たちで賄えるのか。食料安全保障上のリスクが非常に高いのです」と強い危機感を抱く。さらに、従来の化学肥料の製造は高温高圧のプロセスを要し、世界全体のCO2排出量の1〜2%を占める深刻な環境負荷も抱えている。

 この世界的課題を打ち破るのが「人工雷」(プラズマ)技術だ。高電圧のプラズマ放電を照射することで、空気中の窒素分子を分解・反応させ、水と電気だけでその場で肥料の成分となるアンモニアや硝酸を生成する。大規模な工場も輸送用トラックも必要とせず、再生可能エネルギーの電力を使えばCO2排出量はほぼゼロに抑えられるという。

 古賀部長は「肥料を輸入して長距離を運ぶこと自体が、地球環境の負荷になっている。移動させずにその場で肥料が生成できれば、輸送コストやCO2も削れ、農業のゲームチェンジャーになる」と力を込める。

 研究農場では、プラズマ照射によって未利用の牛糞や茶殻などの廃棄物を、高機能な有機肥料や培土へアップサイクルする実証実験も進行中だ。筆者も現地を見学したが、牛糞は匂いのないサラサラとした土のような形になっていた。メロンなどの作物で生育促進効果が確認されているという。輸入頼みになっている「8000億円の有機肥料市場」を国産のクリーンな肥料で置き換える構想を描く。

photo AIと連携し、ビニールハウスのカーテンを自動で開閉する装置類

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