しかし、現在は拡大基調だったウナギブームも落ち着きを見せている。
一方で、ウナギそのものの需要がなくなったわけではなく、土用の丑の日の需要は依然として底堅い。
こうした中で各社が模索しているのが新たな需要の開拓だ。店舗を縮小している鰻の成瀬も、ひつまぶしを提供する「二代目ひつまぶしの成瀬」への業態転換をしている。また、7月1日にはブランドを刷新。元プロ野球選手の斎藤祐樹氏がCOO(チーフ・おもてなし・オフィサー)に就任し、巻き返しを狙っている。
供給面でも変化の兆しがある。国立研究開発法人 水産研究・教育機構は、世界で初めてニホンウナギの完全養殖に成功。大分県の山田水産では、年間1万匹以上の安定生産に成功しており、2028年には10万匹を目指している。
これまでウナギといえば、少しぜいたくをして味わうものというイメージが強かった。しかし、食べ方や営業形態の多様化に加え、供給面でも技術革新が進めば、より身近な食材になっていくかもしれない。
ブームが一巡した今、ウナギ業界が再び成長軌道に乗れるかは、新たな需要をどこまで開拓できるかにかかっているだろう。
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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