イオングループの総力を結集、沖縄のインバウンド需要を獲る!:イオン琉球社長に聞く(2/3 ページ)
観光客が年間700万人を超えた沖縄に今年4月、イオングループが大型ショッピングセンター「イオンモール沖縄ライカム」を開業した。その狙いは当然インバウンドだ。
インバウンドが業績を押し上げ
ライカムの施設において、ファミリー向けの新たなGMSである「イオンスタイルストア」を取り仕切るのがイオン琉球である。「観光立県にふさわしいリゾートモールとして、既存の県内店舗よりも沖縄色を出している」と、イオン琉球の坊池学社長は特徴を説明する。例えば、琉球ガラスやかりゆしウェアを多数揃えた専門コーナーを設けたほか、県内にある全46酒造所の泡盛をそろえたのも初めての試みである。
免税サービスカウンターのスタッフを充実させ、外貨両替も当初の6カ国から増やすなど、インバウンドを狙い撃ちした格好になっている。
実はイオン琉球では従来からインバウンドへの対応には力を入れていた。昨年10月1日に始まった消費税免税制度の改正でいち早く対応に乗り出したことなどが功を奏し、2015年2月期通期の決算では、営業収益が前期比2.2%増の691億1800万円、経常利益は同3.9%増の10億9400万円と、ともに過去最高を更新した。
「イオン琉球の旗艦店である北谷店ですぐに免税対応をスタート、11月に那覇店、今年2月に残り3店舗のGMSで対応した。それによって外国人観光客の来店が飛躍的に伸びた」と坊池社長は手応えを感じている。
免税対応のほかにも、GMSでは無料Wi-Fiを設置したり、イオングループの強みを生かして、千葉の成田店で外国人に売れている商品を品ぞろえに反映させたりしている。
GMSだけではなく、一部のスーパーマーケットでもインバウンドへの取り組みを進めている。例えば、アジア各国からの大型クルーズ船が寄港する那覇新港にほど近いマックスバリュ若狭店では、無料Wi-Fiやイートインスペースを設置したり、外国語を話せる従業員を配置したりして、外国人にとって買い物しやすい環境を整えた。その結果、口コミで人気が広まり、多くの外国人観光客が利用するようになったそうだ。
関連記事
- 今、スーパーマーケットが大転換期を迎えた
流通大手の総合スーパー(GMS)事業の不振や、地方を中心とした業界再編など、日本のスーパーマーケット業界を取り巻く動きが目まぐるしく変化している。特集「スーパーマーケットが生き残る道」では、そうした状況下での各社の取り組みなどを見ていく。 - インバウンドに沸く沖縄の小売業、しかし課題も
訪日外国人数が過去最高を記録し、インバウンド消費による好況が小売業界に到来している。特にアジア地域からの大型クルーズ客船が寄港する沖縄ではその勢いが強く、スーパーマーケット各社の業績も伸びている。しかし今後の課題も散見されるという。 - オムニチャネルに躍起になるスーパー各社、成功のポイントは?
今スーパーマーケット業界で旬なキーワードが、すべての販売チャネルを統合する「オムニチャネル」であろう。大手を中心に各社がその推進を急いでいる。日本におけるオムニチャネルの現状や成功のポイントを小売・流通業界に詳しいアクセンチュアの山口邦成シニア・マネジャーが解説した。 - セブン&アイのネットスーパー専用店舗、裏側の仕組みは?
「ネットスーパー」と呼ばれるECサービスを手掛けるスーパーマーケットは多いが、今年3月にセブン&アイHDが開業した「ネットスーパー西日暮里店」は、物流倉庫さながらの専用店舗だった。 - 日本人のここがズレている! このままでは「観光立国」になれません
「訪日客が1300万人を突破」といったニュースを目にすると、「日本は観光立国になったなあ」と思われる人もいるだろうが、本当にそうなのか。文化財を修繕する小西美術工藝社のアトキンソン社長は「日本は『観光後進国』だ」と指摘する。その意味とは……。 - 特集「スーパーマーケットが生き残る道」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.