セブンを迎え撃ち ファミマが沖縄で伸び続ける理由:過熱するコンビニ戦争(4/4 ページ)
沖縄に訪れたことのある人ならご存じだろうが、街でよく目につくコンビニといえばファミリーマートだ。30年近く前にエリアFCとして設立された沖縄ファミリーマートの戦略が功を奏し、今や沖縄では不動の地位を築いている。その取り組みとは――。
それぞれの地域で勝つ!
さて、来るべきセブン‐イレブンの沖縄進出に対し、沖縄ファミリーマートはどう迎え撃つのか。「実際に早く進出してくれた方が具体的な策を打てる」(糸数氏)というが、基本的には現状での取り組みをしっかりと継続していくことが重要だとする。
その1つがリウボウグループ全体でのシナジー創出だ。現在、デパートリウボウでファミリーマートのプライベートブランド(PB)商品「ファミリーマートコレクション」を販売する一方で、ファミリーマート店舗ではデパートに並ぶような高級感あるチョコレート商品などを販売している。また、ファミリーマートのPB商品のノウハウを生かして、りうぼうストアの袋パンやデザートを商品開発している。かたや、魚の刺身などの生鮮食品をりうぼうストアから一部のコンビニ店舗へ直接搬送し、それを販売する仕組みを作っている。
「沖縄においてはデパートリウボウのブランド価値が高いため、そこにファミリーマートの商品が並ぶことでファミリーマート自体の価値も上がっている」(糸数氏)など既に相乗効果が出ている。いずれはバックヤード業務の効率化なども図っていきたいとする。
そのほか、インバウンド需要の取り込み(関連記事)や、アジア諸国のファミリーマートとの連携も強化する。沖縄ファミリーマートは台湾のファミリーマートとの関係性が強く、例えば、沖縄明治乳業と共同開発したアイスを現地店舗で販売したりしている。
「現在ファミリーマートは業界首位ではないが、沖縄ではナンバーワンである。セブン‐イレブンが進出してきた後もトップを獲り続けていれば、今後のファミリーマート全体の戦略にも大きな影響を与えるだろう。つまり、それぞれの地域でトップを獲ることで、セブン‐イレブンに勝っていくという発想につながるはずだ」(糸数氏)
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