ママを狙え! 変化する飲食店のランチタイム戦略:店舗改装する店も(2/3 ページ)
これまで飲食店でのランチといえば、都内でも客単価1000円前後が一般的だった。ところが、新たな需要の掘り起こしによって、客単価を倍以上にしている店が増えている。一体何が起きているのだろうか。
客単価は倍以上に
ランチタイムを使った宴会需要も高まっている。ランチの客単価が高いと言われている都心でさえ、800〜1000円の価格帯が中心だが、このランチ宴会の客単価は2000〜4000円と、通常の倍以上の単価が見込める。また事前に予約が入るケースがほとんどのため、飲食店にとっては売り上げの予測が立てやすく、ランチタイムでは特に難しいとされる人件費とのバランスもとりやすくなる。
人件費とのバランスとはどういうことか。一般的に、ランチタイムは1〜2時間の間に来店が集中するが、客単価が低いため、ピーク時に従業員を入れすぎても、売り上げとのバランスが取れないことが多い。一方で、従業員が少なければ、時間に制約がある顧客がランチには多いので、料理の遅れやサービスの低下などに対するクレームが発生しやすい。ランチ営業をしない居酒屋が多いのはこうした理由が大きい。
話を戻そう。ランチ宴会を開く層は大きく分けて2つ。1つ目は主婦層だ。主婦は、夜は家事などで外出が難しいが、子どもや夫などが家にいない昼であれば外出しやすく、たまにはちょっと贅沢に過ごしたいという理由などから、友だち同士でランチ宴会を開催する。もう1つは、60代以上のシニア層だ。定年退職後に同窓会で集まったり、夫婦で来店したりするケースが最近増加しているというのだ。
ビーワイオーが運営する和食業態チェーンの「えん」では、対前年比120〜150%でランチの売り上げが伸びている。その大きな要因となっているのが、ランチ宴会の取り込みだ。特に成長しているのが、自由が丘店、渋谷店、池袋パルコ店。中でも渋谷店は、金土の深夜営業をやめて、ランチ営業に切り替えたところ、過去最高の売り上げを更新し続けている。利用シーンは同窓会、お稽古やスクール関連の集まり、ママ会がメインで、シニア層とママ層で全体の6〜7割を占めるという。
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