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なぜテレビ局はダメになったのか? 変わる視聴率競争:消費トレンドから見る企業戦略の読み解き方(3/7 ページ)
テレビ局を取り巻く経営環境は厳しさを増している。この背景には、長年にわたりテレビ局と「蜜月の関係」を築いてきた広告代理店が彼らを見限り始めていることが大いに関係するという……。
放送業界を取り巻く旧来の業界構造
放送業界の歴史を振り返ると、日本初のラジオ放送が始まったのが1925年。民間のラジオ放送は1951年、テレビ放送は1953年にスタートした。
開業当初から放送にはアナログ信号の無線電波が用いられた。地上テレビ放送では、映像という情報量の多いデータを送るために、超短波(VHF:30MHz〜300MHz)や極超短波(UHF:300MHz〜3GHz)といった、比較的高い周波数帯の電波が利用された。アナログ信号を用いて高周波数帯の無線電波を送るには、当時としては高い技術水準が要求され、必要な設備なども高価なものだった。
限られた資源である無線電波の公共性を考慮し、放送事業は国による免許制がとられてきた。免許による規制と、放送の技術的制約に伴う固定費の高さが、放送事業への参入障壁を作り、放送業界の寡占構造を形成、維持してきた。
放送業界の寡占化を生んだもう1つの力は、新聞業界だ。民放キー局は、大手新聞社を大株主として設立された。日本テレビ系列は読売新聞、フジテレビ系列は産経新聞、テレビ朝日系列は朝日新聞、TBS系列は毎日新聞というように、民放キー局は人事などの面でも新聞社との結び付きが強い。
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