エプソン、国内プリンタ事業拡大へ大勝負:初の日本専用モデル投入(4/6 ページ)
セイコーエプソンおよびエプソン販売が、大容量インクタンクを搭載した新製品を投入する。初の日本市場専用モデルということで、同社にとっては国内プリンタ事業の転換に大きな一歩を踏み出すものになるはずだ。
認知度アップが課題
だが、その一方で、いくつかの要望も上がってきた。
EW-M660FTは、グローバルモデルであったため、日本のユーザーの細かい要求には対応できていない部分があったのだ。例えば、写真プリント対応や、フチなし印刷への対応、メモリーカードスロットの搭載、CDなどのレーベルへの印刷機能の搭載、2段給紙カセットの搭載などである。
そこで、今回新たに発売するEW-M770Tは、これらの要望に対応。自動両面印刷、2.7型カラー液晶パネルの搭載とともに、フチなし印刷や3ウェイ給紙、スマホ連携、ディスクレーベル印刷、メモリーカードスロット搭載など、日本のユーザーが求める機能の充実を図った。
「日本のニーズに最適化した設計をした初の大容量インクタンクモデル」と、エプソンでは位置付け、「これによって、大容量インクタンクモデルの価値を、より積極的にユーザーに伝えていきたい」とする。
エプソンの調べによると、国内における大容量インクタンクモデルの市場認知率は約35%、その価値を理解している人は23%にとどまっているという。
3月2日からは、女優の吉田羊さんを起用したテレビCMもスタート。全国2000店舗での展示を行うほか、Webを通じた訴求も開始する。大容量インクタンクモデルの本格的な訴求は、日本では初めてのことになる。訴求ポイントは、「文字も写真もジャンジャン印刷」となり、同時に、「ケタ違い大容量・エコタンク方式」、「インク満タン、1年分」も訴求キーワードになる。ターゲット層は、これまでのオフィスやSOHOのビジネス利用だけに限定せず、プリントボリュームが多い家庭での利用も想定している。
EW-M770Tの同社直販サイトでの価格は、6万9980円(税別)。インクカートリッジモデルと比べると、4251枚を印刷した時点でコストが逆転。「5年間の使用の場合、月に71枚印刷する人であれば、大容量インクタンクモデルの方がお得となる。印刷枚数が増えれば増えるほど、TCOを削減できる」とする。2年間の無償保証に加えて、無償引き取りサービスも提供する。
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