エプソン、国内プリンタ事業拡大へ大勝負:初の日本専用モデル投入(3/6 ページ)
セイコーエプソンおよびエプソン販売が、大容量インクタンクを搭載した新製品を投入する。初の日本市場専用モデルということで、同社にとっては国内プリンタ事業の転換に大きな一歩を踏み出すものになるはずだ。
日本市場でも一定の手応え
一方、日本では、2010年5月から、日本国内向けに、大容量インクパックを採用したインクジェットプリンタ「EC-01」を試験的に発売した経緯はあるが、オフィス市場に限定したこともあり、継続的な進化は行わなかった。だが、2016年2月に、カラー複合機モデル「EW-M660FT」など3機種の大容量インクタンクモデルを投入。これによって、風向きが少し変わってきた。
エプソン販売では、「コンビニ経営者からは、これだけランニングコストが安いのは魅力的であるという声をもらったり、作文教室や着付け教室の主催者からはカートリッジ交換の手間が削減できたり、外注していたチラシを自作するようになったという声が出ている」とコメント。「生活の中には、印刷すると便利な場面や楽しい機会があるにもかかわらず、コストを気にして印刷を躊躇(ちゅうちょ)しているという例が見られるが、こうした課題を解決することができる」と手応えを見せる。
EW-M660FTなどの購入者を対象にしたアンケートによると、「わずらわしいインク交換の手間が軽減された」というユーザーが50%に達し、「インク切れへの不安が解消した」が39%、「コストを気にせずたくさん印刷できるようになった」が26%、「コストを機にして印刷を我慢することが減った」が19%などの結果が出ている。そして、大容量インクタンクモデルの購入者は、月平均のプリントボリュームが40%増加しているという実績もあるという。
こうした動きをとらえて、セイコーエプソンの碓井稔社長は、「2016年に強く実感できた出来事の1つが、日本においても、インクジェットプリンタの大容量インクタンクモデルには、一定量の市場があるということを確認できたこと」だと語る。
実際、日本における大容量インクタンクモデルの販売の勢いは徐々に加速しており、2016年度上半期(2016年4〜9月)の6カ月間の販売実績に対して、第3四半期(2016年10〜12月)の3カ月間だけで、その1.5倍の販売数量になっているという。「低ランニングコストで、気兼ねなく印刷したいというニーズに応えることができている」(エプソン販売)とする。
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