エプソン、国内プリンタ事業拡大へ大勝負:初の日本専用モデル投入(2/6 ページ)
セイコーエプソンおよびエプソン販売が、大容量インクタンクを搭載した新製品を投入する。初の日本市場専用モデルということで、同社にとっては国内プリンタ事業の転換に大きな一歩を踏み出すものになるはずだ。
一人勝ち状態
エプソンは、2015年度に全世界で約1420万台のプリンタを出荷したが、そのうち大容量インクタンクモデルは約35%を占めている。2016年度は約1520万台の出荷を見込み、大容量インクタンクの構成比は約4割に拡大。600万台強の出荷を予定する。2010年以来の全世界での累計出荷も既に1500万台を突破しているという。
実は、海外では、HPやキヤノン、ブラザーも大容量インクタンクモデルを発売している。だが、この市場はエプソンが独占的とも言える状況にある。2016年度の市場全体では約620万台が想定され、そのうちの600万台強をエプソンが占めているからだ。
セイコーエプソンの井上茂樹代表取締役専務執行役員は、「他社のプリンタに比べて、プリントヘッドの耐久性が高いこと、大容量インクタンクモデルの豊富なラインアップを揃えていること、そして、この分野で先行したことで、『大容量インクタンクモデル=エプソン』というイメージが、新興国で定着している」とする。海外では独占的とも言える状況が続いているのだ。
先ごろ、セイコーエプソンは、2016年度通期の業績を上方修正。プリンティングソリューションズ部門も上方修正し、売り上げ収益が180億円増の6880億円、事業利益では20億円増の870億円とした。この上方修正の理由の1つに、「大容量インクタンクモデルの販売価格が安定的に推移した」ことを挙げ、「競合他社の参入による価格下落の影響を想定していたが、その影響がない。第4四半期も大容量インクタンクの価格は安定すると予想している」と、一人勝ち状態によって値崩れしていないことを示す。
また、大容量インクタンクモデルの投入以降、プリンタ全体の販売数量が増加傾向にあり、さらにインクの売り上げ収益が上昇するという結果にもつながっているという。
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