連載
旅先で学ぶ、私たちが食べることの意味:内田恭子の「いつもそばに本があった」(2/4 ページ)
旅はいつだって魅力的だ。どこへ行こうかと考えているだけでも楽しくなってしまう。そんな旅先で出会うおいしい食べ物や素敵な人々。そこから私たちが学ぶことはたくさんある。
土地の本当の魅力を知るには
青森県弘前市のりんご。不可能とされていた無農薬、無肥料栽培に見事成功した「奇跡のりんご」。書籍化、映画化されたのでご存じの方も多いはず。生産者の木村秋則さんが無農薬をやろうと思ったきっかけが、奥さまの体が農薬に弱かったためという、まさに驚きの展開。りんごの木にわが子のように話し掛け、愛情を注ぐ木村さんの愛情がひしひしと伝わってくる。
コーヒーやスイーツ好きなら一度は訪れてみたい愛媛県松山市。実は趣のある喫茶店やカフェが広く存在しているらしい。ラテアートの第一人者から直々に受け継いだ技が味わえる「ナチュレ」や、昭和24年創業の「みよしの」甘味店のおはぎ。
「うちのあんこは日本一」と言い続け、家族が買ってくるあんパンや大福のあんこをわざわざ自分のところのあんこと入れ替えて食べていたという、先代の心を受け継ぐおはぎだ。この本を読んで「ラテもおはぎも大好きなのに……」と嘆いた。以前、仕事で愛媛に行った際には、飛行場と現場を車で往復しかしなかったことが悔やまれて仕方がない。もっと早く知りたかった。
「愛媛はやっぱりみかんでしょ!」と、飛行場でみかんの段ボールを自宅に送っただけの愚かな私(もちろん、みかんはおいしかったが)。やはりその土地は自分で歩いてみないと魅力が分からない。きっと素敵な出会いも、おいしいものに出会うチャンスも、今までたくさん見逃してきてしまったんだろうなあ。
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