市民アスリート集団が開発する健康サービスの“ホンキ度”:ユーザー心理をわしづかみ(3/6 ページ)
ヘルスケアサービスなどを提供する、ネオスという東証1部上場の会社がある。同社のサービスは利用者の気持ちを心底分かっていると人気だ。なぜなら開発メンバーの社員たち自身が市民アスリートとして同じような悩みや課題を経験しているからだ。
歩けば歩くだけ電子マネーが貯まる
もう1つ、同社のヘルスケアサービスで人気を博しているのが、健康管理やダイエットをサポートする活動量・歩数計測アプリ「Renobody」である。
順天堂大学大学院 スポーツ健康科学研究科の柳谷登志雄先任准教授が監修するアプリで、目標体重と期間を入力してゴールを決定すると、1日に必要な活動量を算出。後は目標達成に向けて歩くだけだ。歩数に応じて、消費カロリーや活動時間、歩いた距離を更新。体重を記録することで、ダイエットの進ちょくが確認できる。現在、約20万人が利用している。
Fitbitやオムロンヘルスケアなどの各種ヘルスケアデバイスや、スマートフォンに内蔵した歩数センサーのほか、Apple「ヘルスケア」、「Google Fit」などのアプリとも連動して、データを収集するマルチデバイス連携を実現。手軽に歩数管理できるのが特徴だ。
イオンとの連携により、電子マネー「WAON POINT」と連携。1日8000歩歩くと、1WAON POINTを付与するサービスも提供している。
「手持ちのスマホで計測したデータを活用できる手軽さもあり、ポイント獲得を目的に積極的に歩き始めた人も多い。結果として、ポイントを貯めながら、健康につなげるといった提案ができる」(星野部長)とする。
そのほか、モチベーションを維持するために、活動状況の経過をグラフで表示するといった機能を持つデイリーフィードバック、週間アドバイスと評価を行うウイークリーレポート、ダイエット計画の目標への到達度について評価する減量シミュレーション、毎日変化する著名人の格言の表示により、やる気を後押しするなどの仕組みも用意している。
さらに、Renobodyを活用して、企業や団体などが手軽にウォーキングイベントを開催できるサービスを新たに開始。歩数を基にした個人対戦やグループ対戦をサポートすることで、商品やサービスのキャンペーンとの連動、企業における健康増進施策の1つに活用することができるという。
「オープンイベントとしても、クローズドイベントとしても利用できる仕組みであり、低価格で利用できるサービスとして提供する。健康を切り口に、キャンペーンなどを実施できるものになる」(星野部長)とする。
ここでは、歩くことで病気予防評価や管理が行えるシステム「N-system」と連携するRenobodyの特徴を生かし、利用者の歩数と中強度活動データを組み合わせ、より分かりやすい健康管理へとつなげる提案も行う。
N-systemは、東京都健康長寿医療センター研究所の青桝幸利博士が、群馬県中之条市の高齢者5000人を対象に実施し、歩行と健康の関係性を明確にした中之条研究を可視化。活動の質と量から、病気予防度評価を100点満点で表示。身体活動に基づいて、20項目の病気、病態に対する予防率を表示できる。
「企業の健康管理者は、疾病ごとのリスクや対象者数を把握し、分析が可能であることから、社内イベントの継続によって、うつ病リスク者が減少したことなどが確認でき、医療費削減効果などのメリットなどを明確に示すことができる」(星野部長)
新サービスは、キャンペーンやイベントとの連動や、組織まるごとの健康増進への取り組みが可能になるため、Renobodyの新たな活用方法として、今後、注目を集めそうだ。
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