“おとなのパルコ“は上野・御徒町で成功するのか?:繁盛店から読み解くマーケティングトレンド(1/4 ページ)
人気急上昇中のイースト東京エリア、その中心的な街とも言える上野・御徒町に新しい「パルコ」が11月4日にオープンしました。これまでのパルコと何が違うのか? 店づくりの特徴からこれからの消費トレンドを探ります。
今、東京で盛り上がっている街と言えばどこでしょうか?
六本木、渋谷、新宿、銀座? いえいえ、一番注目されているのはイースト東京エリアです。2012年に「東京スカイツリー」が押上に開設されたのを皮切りに、15年に浅草で「まるごとにっぽん」という日本の食文化を発信する商業施設がオープンしたり、蔵前周辺に若者に人気のカフェや雑貨屋などが続々と開業したりしています。また、JR御徒町駅前の鮮魚専門店「吉池」がビルを建て替え、「ユニクロ」や飲食施設をオープンし、ますます繁盛しているようです。
イースト東京エリアの江東区(23区のうち人口増加率4位)、台東区(同6位)、墨田区(同7位)、荒川区(同8位)は、07年からの10年間で人口増加率が非常に高いエリアです。中でも上野、御徒町、北千住、谷根千(谷中、根津、千駄木)といったエリアが住みやすくて、物価も安く、都心へのアクセスも良いということで街としての人気が高まっています。
その中心的な街とも言える御徒町に新しい「パルコ」がオープンしました。今までのパルコとは一線を画したその店づくり。これまでのパルコと何が違うのか? 店づくりの特徴からこれからの消費トレンドを探ります。
上野にパルコ進出
上野のパルコが入居しているのは、J・フロント リテイリングが開発した上野フロンティアタワーというビルです。元々は「松坂屋上野店・南館」があった場所に、複合ビルの上野フロンティアタワーを開業させました。このビルの1階から6階に同社の子会社であるパルコが入居しました。
地下1階には松坂屋、7階から10階は映画館のTOHOシネマズ、12階から22階はオフィスという構成です。J・フロント リテイリングが進める「脱・百貨店」を表現したビルが上野フロンティアタワーです。つまり、パルコも同ビルの一テナントとして出店したという位置付けです。
この組み合わせは、パルコがJ・フロント傘下に入ってから初めての本格的なコラボとなります。百貨店と隣り合わせで開発された初のケースが上野なのです。2017年4月に開業した「GINZA SIX」も脱・百貨店の形をとって松坂屋銀座店跡にオープンさせ、業績は順調に推移しています。
多様な業態を強みにして街の魅力を高めていく手法を「アーバンドミナント戦略」と設定して、J・フロントの戦略の柱となっています。今後、渋谷のパルコ、心斎橋の大丸再開発においても同様の手法がとられていくことになります。今後の日本の商業の新しい形としても、今回の上野の再開発は注目すべきだと言えるでしょう。
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