なぜ伝説のプロデューサーは天才たちをディスりまくったのか:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
最近、米国で著名人たちのインタビューが物議を醸している。インタビューの中で最も強烈な発言をしたのは、伝説的な米音楽プロデューサーのクインシー・ジョーンズだ。とんでも主張の数々に、後に本人がことの重大さに気付いて謝罪するという事態になっている。
スクープのオンパレード
ジョーンズはジョン・F・ケネディ大統領の暗殺事件に話が及ぶと、さらにヒートアップする。ジョーンズは誰がケネディ大統領を殺した人物を知っていると主張し、有名マフィアだったサム・ジアンカーナの名を挙げた。「シナトラとマフィアとケネディの関係性だった。ケネディの父ジョーは悪い男で、シナトラに頼んで、ジアンカーナにケネディへの票を確保するよう口利きしてもらったのだ」
スクープのオンパレードである。しかもジョーンズほどの大物なら、信ぴょう性も高いのではと感じさせる。
ただ、このインタビューは炎上した。その状況を見て焦ったのか、ジョーンズは長い謝罪文をTwitterで掲載。この取材のせいで6人の娘たちから「呼び出し」を食らったというジョーンズは、「父親に対して立ち上がることを恐れない娘たちに感謝したい」と書き、「私の言葉によって傷ついた人たちに謝りたい」とツイートした。
ケネディ陰謀論のような話なら許されるだろうが、訴訟大国の米国では、マーロン・ブロンドやマイケル・ジャクソンに対する発言は下手したら訴訟になりかねない危険な発言だ。そんな指摘もあったのだろう、早々に謝罪文を発表したのだった。
こうした顛末(てんまつ)を見ていて不思議に思ったのが、84歳になったジョーンズがなぜ今になってこんな発言をしたのか、ということだ。地位も名声もカネ(資産は4億ドルとも)も手に入れている彼が、今さら暴言で炎上を狙う必要はないからだ。
実はニューヨーク誌とのインタビュー記事が出る少し前に、ジョーンズは、米GQ誌の取材にも応じている。だがこちらは、それほど話題にならなかった。それでも内容は興味深く、ジョーンズは「昨年66人の友人がこの世を去った」と述べた上で、「84歳にもなると、これまで不思議に思っていたことの答えがはっきりと見えるようだ」と語っている。もしかしたら、年を重ねたことで達観し、過去の人生を赤裸々に語りたくなったのかもしれない。
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