民泊事件で使われた、出会い系アプリ「Tinder」の実態:世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)
兵庫県三田市の女性(27)を殺害したとして、米国籍のヴァシリエヴィチ容疑者が逮捕された。容疑者と被害者が知り合ったのは「Tinder(ティンダー)」というアプリだったそうだが、こうした出会い系アプリを使うことでどんな事件が起きているのか。海外に目を向けると……。
出会い系サービスから犯罪が起きている
14年、オーストラリアのゴールドコーストでは、ニュージーランド出身の女性(26)がオーストラリア人の男性とティンダーで出会い、1週間後にデートすることに。そのデートで男性宅に行った女性は、男性と性行為を終えた後で口論になり、首を絞められてベランダに放置された。女性はベランダから逃れようとして、14階から落下、死亡した。
16年、メキシコでは女性(26)が同じ年の男性とティンダーで出会い、数回目のデート以降、行方不明に。警察が男性宅を調べたところ、女性の遺体の一部を発見した。男性は性行為を求めたが断られたために、殺害し、塩酸で遺体を溶かしたが、残った骨の一部をベランダに隠していた。
17年11月、米ネブラスカ州では、女性(24)がティンダーで出会った人と会いに行って行方不明に。すると女性はバラバラ遺体となって発見された。現在、女性と会った相手とそのルームメートである男性(51)が、女性をさらったとして捜査されている。まだ進行形のニュースで、米国でも大きく報じられた。
またオーストラリアや英国などでは、恋人や配偶者がティンダーで浮気していると勘違いして殺害事件を起こすケースが何件か起きている。というのも、このティンダーにアクセスした人を特定できる有料のサービスもあるからだ。恋人がティンダーで浮気をしていないかをチェックできるというWebサイトだ(参照リンク)。
また米国では恋人を殺害したとの容疑がかけられた「ティンダー熱狂者」である男性が、警察が迫っているのに気がついて香港に逃げようとしていたところを逮捕されている。
もちろんティンダーそのものが悪いわけではない。ただティンダーなど出会い系サービスから犯罪が起きているのは紛れもない事実だ。
凶悪事件とは言えないが、『週刊文春』(12月21日号)によれば、日本でもティンダーを使って女性と出会おうとしていた外務省のロシア専門家の通訳(既婚者)のスキャンダルが報じられている。この男性は、ティンダーのプロフィールに、勤務先は「外務省」と記し、安倍晋三首相とロシアのウラジーミル・プーチン大統領との会談の様子を漏らしたり、北方領土問題について出会った女性に話していたという。こういう「トラブル」も起きているのである。
ティンダーには、旅行に行く際、事前に現地の会員とやりとりできるサービスがある。登録者の統計によれば、16年に最もこのサービスが使われた都市は、ロンドン(英国)だ。次いで、パリ(フランス)、ニューヨーク(米国)、ベルリン(ドイツ)、モスクワ(ロシア)、ストックホルム(スウェーデン)、リオデジャネイロ(ブラジル)、シドニー(オーストラリア)と続く。日本の都市はトップ15に入っていない。
とにかく、世界で人気のティンダーは気をつけないと予期せぬトラブルに巻き込まれる可能性がある。日本だけでなく、世界中で凶悪事件が起きているのである。
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