世界初「たこ焼きロボット」は、“プロ”を超えることができるのか:水曜インタビュー劇場(くるくる公演)(2/7 ページ)
世界初の「たこ焼きロボット」が、長崎のハウステンボスに登場した。ロボットは、たこ焼き器への油引き、生地入れ、返し、焼き加減の調節、盛り付けなど行うわけだが、味はどうなのか。また、プロの味を超える日はやってくるのか。ロボットの生みの親に聞いた。
外食産業の何かを変えることができれば
土肥: 「たこ焼きをつくることができるロボットが誕生した」――。この話を聞いたとき「どこまでできるんだろう? 生地を返すくらいなのでは?」と思っていたんですよね。でも、その答えは「最後」まで。たこ焼き器に油をひいて、生地を入れて、返して、焼き加減を調節して、盛り付けを行う。プロの目から見れば「返し」のところで「まだまだ、だな(キラーン)」とぎこちなさを感じるかもしれませんが、そこは今後の課題ということで。
個人的に気になったのは、そもそもどうして「たこ焼きをつくるロボットをつくろう」と思ったのか。同じ外食産業であれば、うどん・そば、牛丼、ハンバーガーなどのほうが市場は大きいのに、あえてたこ焼きに注目した経緯を教えてください。
沢登: 子どものころからロボットが好きで、ガンダムのプラモデルをつくったり、ミニ四駆をつくったりして遊んでいました。大学時代にプログラマーとしてロボットにはまって、2004年に開催されたNHKの「大学ロボコン」(ロボットコンテストのひとつ。現在は「学生ロボコン」の名前で開催)で優勝したんですよね。当時、日本で起業ブームが起きていたので、僕も「いつかは起業したいなあ」と漠然と考えていました。
「自分の城のようなものをつくりたい。飲食店はどうか」と考え、すぐには起業せずに、某飲食店で働くことに。企画部に所属して新店舗の立ち上げに携わったり、現場でホールを担当したり。さまざまな業務に携わったことで、分かったことは「飲食店はものすごく大変だ」ということ(苦笑)。単純作業が多く、肉体的にしんどく、長時間働かなければいけませんでした。しかも売り上げに波があるので、「この業界に人が定着しないのは仕方がないのかも」と感じました。
しばらくして自分も辞めることに。その後、10年ほどロボットに関係する仕事に携わり、学生時代に描いていた夢を実現したいなあと考えました。起業することで「外食産業の何かを変えることができないか」といったことを考えていたんですよね。
飲食店を見ると、ロボットを導入しているところがありましたが、ビジネス的にうまくいっているのかどうか、ちょっと疑問を感じていました。自分がもし起業して、飲食店向けのロボットを開発したとしてもビジネス的にうまくいくかどうか分かりません。悩んで、悩んで、悩んだ末に、いまの会社を立ち上げました。2017年4月のことです。
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