もうコンビニは若者のものではない:市場が激変(1/3 ページ)
コンビニエンスストアの来店客に変化が生じている。セブン-イレブンの統計によると、50歳以上は1989年に1割に満たなかったが、2017年には約4割を占める。「コンビニは若者のもの」から「シニアのもの」へと移り変わっているようだ。
コンビニエンスストアの勢いが増している。売上高は2009年に百貨店を上回り、近い将来、スーパーも上回りそうだ(図1)。店舗数や来店客数も増加傾向にあり、客単価もじわりと増えている(図2)。
コンビニは消費者にとって、もはや欠かせない存在だが、利用者層には何か変化があるのだろうか。
セブン-イレブンの来店客は4割が50歳以上
コンビニ利用者の属性について業界全体を捉えた統計は見当たらないため、マーケットシェア4割(※1)を占める業界首位のセブン-イレブンの統計を参考にしたい。
セブン-イレブンの来店客の年齢分布を見ると、若者が減り高年齢層が増えている(図3)。1989年では20代以下が6割を超え、「コンビニは若者のもの」であった。しかし、2000年代に入ると半数を下回り、17年では2割でしかない。
一方、50歳以上は1989年では1割に満たなかったが、2017年では約4割を占めている。つまり、1989年から2017年にかけて、20代以下は3分の1に減り、50歳以上は4倍に増えている。50歳以上のうち65歳以上の高齢者も増えているとすれば、「コンビニは若者のもの」から「シニアのもの」へと移り変わっているようだ。
少子高齢化が進む中、ある程度はこのような変化が予想されるものだが、セブン-イレブンの来店客は人口における高齢化(図4)を上回る速度で進んでいる。1989年から2016年にかけて、50歳以上の割合は人口では30%から46%へと1.5倍に増えているが、セブン-イレブンでは約4倍に増えている。
なお、この期間において、同社の売上高や来店客数、客単価は増加傾向にある。
※1 株式会社セブン&アイ HLDGS.「統合レポート 2018」
関連記事
- コンビニオーナー残酷物語 働き方改革のカギは「京都」にあり
「働き方改革」の時流に逆らうかのように「24時間営業」を止めないコンビニ。その裏では、オーナーに「過労死ライン」の労働を強いている実態がある。そんな中、24時間を止めても純利益を8%増やした京都のオーナーが、メディアの取材に初めて実名で応じた。 - ユニーファミマが社員の服装を自由化、他のコンビニ大手は?
ユニー・ファミリーマートホールディングスが社員の服装をほぼ自由にすると発表した。小売業界全体でみても珍しい取り組みだが、いったいどのような効果を狙っているのだろうか。 - 静岡銀行、窓口業務に昼休み導入
静岡銀行は一部店舗で窓口営業時間を変更し、昼休業を導入する。業務効率化などが目的。 - リーマン・ショックから10年、いまだに回復しないあの業種……
リーマン・ショックから10年経つが、日本企業の全売上高は以前の水準まで回復していない――。東京商工リサーチが企業業績の分析レポートを発表した。 - 「ローソン外国人店員研修」で500人育てた「カリスマママ教官」の愛のムチ
ローソンの外国人向け店員研修に記者が参加。指導役の女性が参加者の国の文化に配慮しつつ、厳しく丁寧に複雑なコンビニ業務をレクチャーした。
Copyright © NLI Research Institute. All rights reserved.