なぜ「お化け屋敷」で人は“ビビる”のか 仕掛人に聞いた:水曜インタビュー劇場(ぎゃあああ公演)(5/7 ページ)
テーマパークや遊園地などに行って、お化け屋敷に入ったことがある人も多いのでは。お化けが出てきたり、急に明るくなったり、風が出てきたり。さまざまな工夫を施しているわけだが、恐怖を生み出す仕掛人はどのようなことに着目しているのか。「株式会社 闇」の社長に話を聞いたところ……。
お化けが先か、音が先か
土肥: いやはや、とても勉強になります! ホラーについて深く考えてこなかった人間からすると、「ホラー=怖ければいいんでしょ」と考えていたのですが、それは間違い。お客さんは何歳くらいで、どこに住んでいるのかといった情報を押さえておかなければ、きちんと怖がらせることができないわけですね。
頓花: 例えば、和式のトイレは怖く感じるかもしれませんが、その記号に頼るのはよくないんですよね。どういうことかというと、「怖いものといえば和式のトイレでしょ。日本人形でしょ」といった感じで記号に頼ってしまうと、恐怖の本質をうまくつかめないことがある。というわけで、先ほども申し上げた通り、どのくらいの年代なのか、どこに住んでいるのかといった情報をきちんと把握して、そうした人たちはどういったことに恐怖を感じるのかを考えて、コンテンツをつくっていかなければいけません。
土肥: 私たちの知らないところで、人を驚かせる工夫をしているわけですが、それでもうまくいかなかったことはあるのでしょうか?
頓花: あります、あります。例えば、お化け屋敷でお客さんを驚かせようとする場合、お化けと音を出すタイミングが少し違うだけで、大きく影響するんですよね。お化けが出るシーンで、お化けよりも1秒先に音を出せばいいのか、1秒後に音を出せばいいのか、それともお化けと音を同じタイミングで出せばいいのか。このタイミングによって、怖さが違ってくるんですよ。
土肥: え〜、そんなことはないでしょ。お化けが出たときに「ダーン」といった音が出ていますよ(たぶん)。
頓花: いえ、よーく見て、よーく聞いてください。お化けと音が同時に出てきても、人はあまり怖がらないんですよね。2つ同時に出てくると、脳がうまく処理できないのかしれません。私が企画する場合は、音を先に出す。「ダーン」と。そうすると人はびっくりして、そのタイミングでお化けを出す。そうすると、人はものすごく怖がるんですよね。
お化けを演じる人の足元にはスイッチがあって、それを踏めば音が出るようになっているんです。音が出て、照明がついて、お化けが登場する。この流れが一番いいのですが、実際にやってみると難しい。「登場するタイミングがちょっと早いのであまり怖くないね。もうちょっと後かな」などと言いながら、日々調整しています。先ほど「1秒」という単位で話をしましたが、実際は0.何秒の世界ですね。
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