スターバックス元CEOの嫌われっぷりを加速させる「大迷惑」な挑戦:世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)
米スターバックスのハワード・シュルツ前CEOが2020年の大統領選に出馬する意向を示し、騒動になっている。トランプ大統領の再選を阻止したい有権者にとっては大きな迷惑となり、「出馬するな」という声が飛び交う。シュルツはなぜこんなにも嫌われているのか。
シュルツがシアトルで“憎まれている”理由
そもそもシュルツはなぜ嫌われているのだろうか。
まず最も知名度がある地元シアトルでは、バスケットボールファンをはじめとして数多くの住民がシュルツを「憎んで」いる。
1967年から地元のバスケットボールチームだった「シアトル・スーパーソニックス」を実質的に所有していたシュルツが、いろいろな言い訳をしながら、2008年にチームをオクラホマシティに移転。地元ファンから激しい反発を受けることになった。現在はその名前を「オクラホマシティ・サンダー」に変えてしまっている。この売却は、地元では事あるごとに取り沙汰され、シュルツを憎んでいる人々は少なくない。
またシアトルは、米国で初めて最低賃金を15ドルに引き上げた街として知られているが、当時シュルツは、この賃上げは雇用を鈍化させると主張し、反対を表明していた。しかし、ふたを開けてみると、賃上げは雇用に影響を与えていない。
さらにシュルツは、ときに感情的にこんな発言をしてしまう。米テレビ局のMSNBCの取材に対し、「私は億万長者だから批判されている。この話をしようじゃないか。ニューヨーク・ブルックリンの公営住宅で育ったのに、一代で成り上がった。これをアメリカン・ドリームと言うのだと思う。アメリカの夢でしょう」と語っている。トランプが遺産を父親から受け継いで金持ちになったのとは違う、と言いたかったようだが、こうしたコメントが少し傲慢(ごうまん)に聞こえるのは、筆者だけではあるまい。
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