ビジネスチャット時代、確実に淘汰される「自己チュー社員」とは:“いま”が分かるビジネス塾(2/3 ページ)
日本企業でも浸透するビジネスチャット。社内コミュニケーションが変容する中で、淘汰されてしまう社員像とは?
メールはあくまで「1対1」がベース
これまで社内のコミュニケーション・ツールの主役だった電子メールは、紙のメモの延長線上として出来上がったツールであり、ライン上の指示・命令や一斉同報といった用途に向いている。つまり1番目と2番目に適したツールであり、多くの人と情報を共有する目的にはあまり合致していない。
電子メールにはCCとBCCという機能があるが、CCはカーボンコピーの略である。若い人はその存在すら認識しなくなりつつあるが、昔は手書きの内容を複写するためカーボン紙を使っていた。今でも金融機関の窓口などでは、カーボン紙が挟まった依頼書を見かけることがある。
かつての企業では、メモを部下や上司に送ってメッセージを伝えていたが、カーボン紙を使って複写し、関係者にも配っていた。この企業文化を電子化したのが今の電子メールである。まずは1対1のやりとりがあり、その情報をシェアすべき人を選択することが前提となっていることが分かる。
だが、1対1の使用を前提としたツールを、情報共有を目的に使い始めると収集がつかなくなる。業種にもよるだろうが、各人が「取りあえず」といった理由でCCを付与し、読み切れないほどのメールが行き交っていないだろうか。これでは、どれが重要な業務連絡なのか、単なる情報のシェアなのか分からなくなってしまい、かえって生産性を引き下げる。
こうした状況を回避するため、先端的な企業組織では電子メールは対外的なやりとりに限定し、社内のやりとりはビジネスチャットに移行するケースも増えている。
だが、話はそれだけでは終わらない。ツールが変わったということは、コミュニケーションの仕組みが変わったということであり、それは社員の評価基準も変わるということを意味している。新しい時代に電子メール型のコミュニケーションしかできない人は、絶滅危惧種になる恐れがある。
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