「おまえの家族皆殺し」――“極限のパワハラ・セクハラ”にどう立ち向かうか:ブラック企業から自分を守れ!(3/5 ページ)
日本で初めてパワハラやセクハラ規制の強化策を盛り込んだ法律が、通常国会で成立する見通しとなった。法律などを使っていかにして自分の身を守るのか? ベテランジャーナリストが解説する。
「パワハラの要件」を満たす事例
「(1)職場の優越的関係に基づいて、(2)業務の適正な範囲を超えて、(3)身体的もしくは精神的苦痛を与え、労働者の就業環境を害すること」の要件を満たす事例として以下の6つを示している。
1.上司が部下に対して、殴打、足蹴りする(身体的な攻撃)
2.上司が部下に対して、人格を否定するような発言をする(精神的な攻撃)
3.自身の意に沿わない社員に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、自宅研修をさせたりする(人間関係からの切り離し)
4.上司が部下に対して、長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う苛酷(かこく)な環境下での勤務に、直接関係のない作業を命じる(過大な要求)
5.上司が管理職である部下を退職させるため、誰でも遂行可能な受付業務を行わせる(過少な要求)
6.思想・信条を理由とし、集団で同僚1人に対し、職場内外で継続的に監視したり、他の従業員に接触しないよう働きかけたり、私物の写真撮影をしたりする(個の侵害)
これに類似した行為としては、例えば上司が皆の前でバカ呼ばわりするなど激しい暴言を吐いて人格を否定する。何度も大声で怒鳴り、相手に恐怖を感じさせる行為。長期にわたって無視したり、能力に見合わない仕事を与えて就業意欲を低下させる行為なども入る。
これまで上司だから逆らえないと思い、我慢してきた人たちも多いだろう。あるいは「こんな上司の下では働けない」と退職した人もいるだろう。でももう我慢する必要はない。法制化によって設置が義務付けられる会社の窓口に通報し、上司の処分を下してもらうようにすることだ。
通報したことで嫌がらせや解雇することはできない。法律には相談を行ったことで「労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」と規定している。
会社に相談しても、認めてもらえなければ、都道府県の労働局に訴えることである。労働局は会社に報告を請求できるが、「報告せず、または虚偽の報告をした者は、20万円以下の過料に処する」と規定している。
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