ミニ入江は身近にいる カラテカ入江氏の闇営業トラブルに見る「紹介」の怖さ:専門家のイロメガネ(4/6 ページ)
お笑い芸人のカラテカ・入江慎也氏の「闇営業」をきっかけに、芸能界が揺れている。入江氏の勘違いは、紹介は引き合わせた双方に責任が発生する重大な仕事であるということだ。ミニ入江のようなおかしな人物も決して珍しくない。人を紹介すること、仕事を紹介すること、そしてそれを引き受けることはそれなりのリスクがある。
「ミニ入江」のような自称コンサルタントは珍しくない
世の中には紹介やコネを飯のタネにしているような人もいる。
ちょっとしたイベントやセミナー、異業種交流会には何をやっているのかよく分からない、自称コンサルタントが1人や2人は必ず混じっている。筆者は交流だけが目的のイベントには参加しないが、勉強会や講演などは参加することもある。終了後には参加者同士の交流を目的に懇親会が開催されることも多い。
以前、大手企業が主催する講演の懇親会でも、PRコンサルタントを名乗る怪しい人物から声をかけられた。多くの人がスーツやオフィスカジュアルの中で、一人だけ服装も風体もズレていたので、マトモではない印象を受けた。
うっとおしい奴が声をかけてきたと思っていると、「本を出したりテレビに出たり、そういったお仕事を紹介するお手伝いができます。興味はありますか?」と、予想通りのインチキな話だ。相手がどんな人物かも分からないうちに、メディア出演を持ちかけている時点ですでにアウトだ。まともなメディアに簡単に出られるわけがないことは、筆者自身が身をもって知っている。
「自分はもう本を出してますし、あちこちで連載してます。テレビもラジオも一応出たことはありますね」
追い払おうと思ってこのように答えると、何やらバツの悪そうな顔して立ち去っていった。交流が目的ならば筆者の本や連載に興味をもっても良さそうなものだが、カモを探していることが明らかな反応だ。
しばらくするとその怪しいコンサルタントが声をかけたのか、10人近くの人の輪ができている。全員が自称PRコンサルタントの話を熱心に聞き入って盛り上がっている様子が見えた。
本やテレビと聞いて食いついたのだろう。そのイベントには筆者の知人も関わっていたので、ヤバイ奴がいたから今後は参加させないほうが良いと忠告しようと思ったくらいだ。こういった「ミニ入江」のようなブローカーもどきは決して珍しくない。不特定多数が集まるリアルの場はもちろん、FacebookやTwitterなどSNSでも見かける。
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