連載
中小企業で男性社員の育休取得率100%を実現してみた:専門家のイロメガネ(4/5 ページ)
厚労省が進める男性社員の育休取得。「イクメンプロジェクト」として形は整ってきたが、育休に絡むトラブルが炎上するなど、定着への道のりは厳しい。男性社員の育休取得100%を実現した企業の経営者が、制度を円滑に運用するための工夫について説明する。
「育休を知らない世代」の社員に特別長期休暇を取らせては?
では、「育休を知らない世代」の社員たちに抵抗なくフォローしてもらうにはどうしたらいいのか。
ここはひとつ会社の制度として、そういう社員たちに対して特別長期休暇を無理にでも取得させてしまってはどうか。
とにかく自己都合で職場から離れて、そのフォローを周りがする機会、つまりフォローされる側の立場になる機会を強制的に設けるのだ。遊びたい者は休んで遊べばいいし、遊ぶよりもキャリアを積みたいという者には、会社がそれに役立つ研修を見つけて行かせてもいい。
男女問わず、長期間職場から離れることの肩身の狭さや業務ができなくなる不都合、そして復帰に伴う不安など、一度体験をしてみないと分からないことだらけだ。育児「休業」は決して育児「休暇」でないことは、育児がなくとも職場を離れざるを得なくなれば理解できるはずだ。
そして公平の観点からいっても、育休の該当者だけが長期に休みを取得できるのは避けるべきだ。社員の誰もが仕事に穴を開けて、それを他者にフォローしてもらう経験を持つことが好ましい。
関連記事
- 麻生氏「年金受給記憶ない」発言が物議 共産党・小池氏のでたらめな批判内容
老後資金は2000万円不足する……問題の議論の過程で、年金に関する勘違いを助長する話が出ている。日本共産党の小池昇氏のツイートを見ると、同氏も年金を理解していない。小池氏の勘違いは社会保障制度の誤解を招く可能性がある。 - 副業解禁の盲点 経験者が直面した「社外活動と退職は裏切り」という現実
終身雇用が終わりを告げるとともに、副業や兼業を容認する動きが目立ってきています。企業はそのための制度を整えていますが、副業や兼業に対する同僚の見方というソフト面は、まだ遅れています。実例と共に、副業解禁の見えない壁を確認していきましょう。 - なぜアコムは、いまだに過払い金問題で消耗しているのか?
一見昔話のようにも思う過払い金問題。しかし、現在も消費者金融各社は過払い金返還に苦しんでいる。特にアコムは当初の想定どおりに引当金が減っていない。なぜ過払い金の正確な返還額が計算できないのか。そこには、過払い金の返還請求を遅らせると、そこに利息がついてくるなどの制度的な理由があった。 - 令和時代の老後リスクとは? 入院できない人たち
たとえお金があっても入院を断られることがある。そんなリスクをご存知だろうか。病院から「ここは身内の方にでもサインをもらってください」と求められる書類がある。それが「身元保証人」の契約だ。 - トヨタ社長が「終身雇用は難しい」と言っても、やっぱり「終身雇用」が必要な理由
トヨタ自動車豊田章男社長の「終身雇用は難しい」発言が大きな波紋を呼んでいる。企業側の厳しい環境はわかるが、終身雇用の維持は日本企業の責任ではないのか? そう考える4つの理由をまとめる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.