“新リストラ時代”の肩たたきツール? 「適性検査」に潜む魔物:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/4 ページ)
金融や製造などの大手企業で、大規模な早期退職や転籍などが広がっている。新手のリストラ策として使われるツールの一つが「適性検査」だ。適性を見極めて転職するのは良いことのように見えるが、「適性がある=いい仕事ができる」わけではない。なぜかというと……
みずほフィナンシャルグループ 1万9000人
三菱UFJ銀行 6000人
三井住友銀行 4000人
東芝 7000人
パイオニア 3000人
富士通 5000人
NEC 3000人
さらに今回、損保ジャパン 4000人
ベテラン社員をターゲットにした、早期退職や転籍などのリストラがとめどなく広がっています。しかも“魔の手”はバブル世代から、「きっとこの先いいことがある」とかすかな希望を持つことで耐えてきた40代の氷河期世代にまで伸びてきました。無節操というか、気の毒というか。暗澹(あんたん)たる気分になります。
これまで日本の企業は、あの手この手で「リストラ策」を進めてきました。東京商工リサーチによると、希望という名の絶望退職は2002年をピークに減少しましたが、07年に復活。リーマン・ショック直後の09年には191社が実施しました(上場企業)。その後は大手企業の業績が好転し、13年以降減少。18年は00年以降で最少の12社まで激減しました。
ところが、です。なんと19年は半年を経過していない時点で16社が実施。この先も増えると予想される中、損保ジャパンが「介護に転籍」という奇策を公表したのです(参考記事)。
「おお! この手があったか!」と関係者をうならせた損保ジャパンに関する私見はこちらの記事「介護へ転籍上等!叩き上げ損保マンを舐めるべからず」に書きましたので、ご興味ある方はお読みいただくとして、今回はもう一つの「新手のリストラ策」を取り上げます。
そこで、まずは先日インタビューした某大手メーカーに勤める部長さんの話からお聞きください。
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