ビジネスの「謝罪」や「お祝い」に何を持参する? 百貨店のプロに聞いてみた:意外と悩ましい(2/5 ページ)
ビジネスの場で欠かせない手土産。「謝罪」や「お祝い」の場で注意すべき点はどこか? 多数の相談に応じてきた百貨店のプロに聞いてみた。
謝罪の際に気を付けるポイントは?
謝罪の場に持参するものを選ぶ際、気を付けるべきポイントは何か? 加瀬さんは、前提として「お詫(わ)びをする姿勢を示すことが最も大切です。モノで解決を図るわけではないので、あくまで真摯(しんし)な気持ちを伝える際に、添えるものという認識を持ちましょう」と解説する。
これは全ての贈り物に共通することだが、「持病があるので甘いお菓子はNG」といったように、受け取る側の事情を把握することも大事だ。加瀬さんも、相談を受ける際には可能な限り相手の事情を聞きだし、提案するようにしているという。損害を与えた程度や、相手との関係性によっても選ぶ商品が変わってくる。つまり、ケースバイケースという要素が強い点を念頭に置く必要がある。
悩ましいのは、相手の好みや属性を踏まえて“狙いすぎた”ものを贈ると「下心があるのでは?」「モノで解決しようとしているのでは?」という疑念を抱かせてしまう可能性があることだ。主張しすぎず、あくまで添えるものという条件で選ぶのが望ましいという。
謝罪の際に何を渡せばいいのか?
そうは言っても、さまざまなケースに利用されやすい商品もある。謝罪の場に持参するものとしてポピュラーなのは「ようかん」だ。他の菓子と比べ、渡された際にずっしりとした感触があるので「事態を重く受け止めている」というメッセージを伝えやすい。また、ようかんは常温での賞味期限も長く、開封しなければ冷蔵庫に入れる必要がないので、相手に「保管場所をどうしよう?」と悩ませないのも支持されやすい理由だ。謝罪の品が相手の負担になるのは避けるべきだろう。
注意すべき点は他にもある。受け取った相手に「切り分けて関係者に配るのが面倒だな」と思われないように配慮することだ。加瀬さんは最初から切り分けてあり、配りやすいタイプのものを進めることが多いという。また、好き嫌いがあることも考慮し、さまざまな味のものが一緒に詰められているタイプを提案することもある。
ちなみに、必ずしもようかんにすればOKというわけではない。ようかんの賞味期限が長いため、ずっと職場に置かれている様子を見て「事態を引きずる」というニュアンスを感じる人がいるからだとか。そういったリスクを避けるためにも、すぐに消費されやすい小分けのようかんを用意することが好ましいという。
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