若者の街・渋谷で、東急プラザが“大人向け”に注力するワケ:再開発ビルで復活(1/2 ページ)
東急不動産は12月5日、渋谷駅西口の再開発ビル「渋谷フクラス」内に「東急プラザ渋谷」をオープンする。建て替え前の顧客など、40代以上の“成熟した大人”がターゲット。ライフスタイル提案など、大人のニーズに合った店舗を展開する。
東急不動産は、東京・渋谷の新商業施設「東急プラザ渋谷」を12月5日にオープンすると発表した。渋谷駅西口で建設が進む再開発ビル「渋谷フクラス」内の商業施設となる。同社は、建て替え前の「東急プラザ渋谷」に思い入れがある人たちをはじめとする40代以上の顧客を重視。時代に合った要素を取り入れながらも、渋谷における自社の歴史や再開発への意気込みを反映させた施設となる。
旧「東急プラザ渋谷」の挑戦を引き継ぐ
渋谷フクラスが建つのは、1965年に民間デベロッパー初の専門店複合商業ビル「渋谷東急ビル」が開業した場所。その後、渋谷東急ビルは「東急プラザ渋谷」と名称を変え、銀座の名店を集めた「立体名店街」を設置したり、ファッションビル化を行ったりと、さまざまなことに取り組んできた。
2015年3月、ビルの老朽化などで東急プラザ渋谷は閉館。再開発によって新たなビルを建設することになった。東急不動産の岡田正志副社長は「49年にわたる歴史に幕を下ろしたときには、お客さまから2500通のメッセージをいただいた。さまざまな挑戦をしてきたことが、長い間愛されてきた理由の一つだ」と、9月11日に開いた発表会で語った。
新しい商業施設として復活する東急プラザ渋谷でも、「新たなチャレンジ」を掲げる。それが、“若者の街”といわれる渋谷で、あえて“大人”をターゲットにしたライフスタイル提案をすることだという。「渋谷になじんできた大人たちの温かな記憶を呼び起こし、“人生100年時代”にふさわしい商業施設として新たなスタートを切る。過去を大切にしながら、未来の価値を創造するブランドにしたい」と、岡田副社長は強調する。
全69店舗が入る中で、“成熟した大人たち”をターゲットとする目玉施設が17、18階のルーフトップガーデンだ。スクランブル交差点や夜景を見下ろせる広場「SHIBU NIWA(シブニワ)」を設置。また、シンガポールのリゾートホテル「マリーナベイ・サンズ」の最上階レストランなどを手掛ける「セラヴィ」が日本初出店する。渋谷の景色を楽しめる「大人の社交場」を目指す。
関連記事
- 「丸ビル」の17年 なぜ“オフィス街・丸の内”は変わったのか
再開発が加速する東京・丸の内。エリアを代表する建物が、2002年に開業した「丸ビル」だ。丸ビル建て替えを機に、“オフィス街”の丸の内は大きく変わった。丸ビルが変えたもの、変わらずに残っているものとは何だろうか。 - 日本一の330メートル高層ビル、森ビルが着工 “超高層”は今後10年で大きく変化
森ビルは8月5日、虎ノ門・麻布台地区に高さ約330メートルの超高層ビルなどを建設する大規模再開発事業に着工。完成時点で日本一の高さのビルになる。一方、それを上回る390メートルのビルの建設計画もあり、超高層ビルの様相が変わっていきそうだ。 - 新宿ミラノ座跡地の225メートル再開発ビル、東急が着工 観光に強い“エンタメの街”はどう変わる?
東京・新宿歌舞伎町で進む再開発計画。東急電鉄などが、約225メートルの高層複合施設の新築工事に8月から着工する。古くからエンターテインメントの街として発展してきたエリアは、どのように変わるのだろうか。 - 開業から40年たっても、池袋サンシャインシティが年3000万人を集める理由
東京・池袋の複合施設「サンシャインシティ」。開業から40年以上たっても、来街者数が過去最高を更新するなど、進化を続けている。当初“東洋一”の高さを誇っていたビルは何が変わり、何が変わらないのか。その魅力を見直したい。 - 外国人が多いのになぜ? 渋谷区が観光施策に注力する事情
東京を訪れる外国人観光客は2015年で約1189万人に上った。そして彼らの多くは渋谷に足を運んでいる。にもかかわらず、渋谷区には観光に関する大きな悩みがあるという。それは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.