人生100年時代の到来 「30年ぶり現場復帰」の美容師が活躍する急成長美容院:売り上げは9年でおよそ100倍(2/3 ページ)
美容院業界の課題「休眠美容師」。うまく活用して売り上げを伸ばし続けている美容院がある。研修制度や現場の効率化を果たし、働いている美容師の半数以上が休眠美容師だ。中には30年ぶりに現場復帰した美容師もいる。
カットとカラーを分業
まず、チョキペタではカットとカラー、そしてクレンリネスの3チームで分業制を敷いている。休眠美容師には「ワンストップで施術を行うことには不安があるが、どちらか一方であればできる」という人が多いためだ。他にも、オートシャンプー機を導入したり、一部メニューでは希望するお客に対してヘアドライヤーをセルフ化したりと、業務を小分けにしつつ、効率化を進めて負担感を軽減している。
業務時間についても配慮をしている。休眠美容師となるきっかけには出産や結婚が多く、デザイン系の美容院にありがちな長時間労働では十分に活躍できない。そのため、時間単位で就業できるパートタイマーとしての採用を多く行っている。デザイン系美容院が長時間労働となってしまう背景には、営業終了後の「勉強会」があるが、チョキペタでは行っていない。
だからといって技術面をおろそかにしているわけではない。その分、希望者に対して月2回ほどの講習を実施。給料自体は発生しないが、交通費を支給し、少しでも通いやすくなるように工夫している。置塩社長が「休眠美容師の方に、いち早く“勘”を取り戻してもらうことが重要」と話すように、研修制度を充実させている。動画を活用した研修制度も構築し、コンテンツを160ほど用意している。しかも、その多くが本部が用意したものではなく、現場主導で作成されたものだというから驚きだ。チョキペタでは「現場主義」を重視している。それぞれの現場も「多くの人が似たような理由で休眠美容師となり、境遇や年齢も似ていることから雰囲気がいい」と置塩社長は話す。
また、休眠美容師の採用に積極的だからといって、美容師免許の有無だけで採用をしているわけではない。年齢や経験こそ不問として募集しているが、カットの経験が浅い人やブランクが長い人が応募してきた際には、カットのテストを実施する。改善が必要であれば、カット講習への参加などを経て技術を身に付けた後、スタイリストとしてデビューする。その間はカラーのみを行う。逆に、カラーリストを希望していてもシャンプーやカラーの技術が心配な人であれば、採用試験でこれらの技術をチェックする。
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