1年で230万人集客 順路なし、あえて“さまよう”美術館に外国人観光客の行列ができる理由:160カ国以上から来訪(3/4 ページ)
東京・お台場で2018年6月にオープンした美術館が、1年で約230万人が訪れる人気施設となっている。特に、外国人観光客が全体の5割を占めることが大きな特徴だ。同館を目的として東京を訪れる外国人が多いのはなぜか。施設の狙いと特徴を森ビルに聞いた。
平均滞在時間は3時間 “日本の美”を感じる
同館を訪れる外国人観光客を国・地域別に見ると、米国が27%を占め、最も多い。オーストラリア10%、中国9%、タイ6%、カナダ・英国各5%と続く。近隣のアジア諸国よりも、遠方の国から訪れる人が多いことが特徴だ。「旅行に“体験”を求める人が(米国やオーストラリアには)多いのではないか」と杉山氏は見る。
体験の面白さに加えて、展示のテーマにも外国人観光客を引き付ける理由がある。同館の展示は、日本古来の“美意識”を取り入れているのだ。
館内で映し出される展示は、日本の四季折々の自然の景色や芸術作品をモチーフにしている。田園風景を映し出す部屋では、緑から黄色、赤へと色が移り変わることで、季節の変化を感じることができる。また、大きな漢字が降ってきて、そこから新たな映像が生まれる演出もある。
そういった展示が「日本らしい、と言ってもらえている」(杉山氏)。最新のテクノロジーを活用して、伝統的なモチーフの作品を作っていることから、「古い日本と新しい日本が混ざり合う、他にはない展示」という声もあるという。
さまよいながら体を動かして新しい作品を発見していく、という展示の特徴から、平均滞在時間は3時間にも及ぶ。全体の広さを把握しきれない上、一度通った場所でも、一定の時間が経過した後に通ると違った光景が見られる。作品自体が部屋を移動し、館内を巡っていくこともある。「次は何が起こるのだろう」という期待と不安を感じられることが、人気の理由の一つであるようだ。
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