「安さ」という“王道”を捨てたマツキヨ 裏から支える謎の会議「コミッティ」とは?:商品企画に店舗スタッフを起用(2/3 ページ)
ココカラファインとの経営統合検討に向けた協議を開始したマツモトキヨシ。展開していたプライベートブランド「MKカスタマー」を2015年に「matsukiyo」へリブランディング。高品質、高付加価値商品の充実を進めている。ドラッグストアといえば「お買い得」のイメージも強いが、王者マツキヨはなぜ「安さ」を捨てたのか。
コンビニが脅威に
マツモトキヨシの高橋伸治広報部長は、方針転換の理由に「コンビニの脅威」を挙げる。マツモトキヨシがPBを始めた06年からの十数年間で、社会は大きく変わった。特に東日本大震災を機に、コンビニの機能が見直されるようになったのだという。
「これまでのコンビニは多種多様な客層を取り込んでいたが、中でも若年層の男性が多かった。それが、震災によってさまざまな商品が品薄になったのを機に、シニアもコンビニに足を運ぶようになった。コンビニに行ってみると、さまざまな商品を販売していることが身をもって分かる。そうなると、これまでドラッグストアで買っていたものもコンビニで買うようになる」と高橋氏は話す。このようなことを背景に、他業種の参入しづらい「美と健康」という柱を据えてPBをリブランディングする必要性を感じていたのだという。
競合が増えたことだけでなく、消費者の態度変容も影響した。「チョコレートを例に出すと、ファミリー層では量を重視し、袋詰めでいっぱい入ったものを好む。逆にこだわりのある人ならば、『カカオ75%』といった商品内容で商品を選ぶ。当たり前といえば当たり前だが、『総中流意識』を前提に商品開発するのではもう戦えない」(高橋氏)
こうしたことを背景に、matsukiyoでは徹底的にデータを活用した商品開発を行っている。グループ会員6000万人超のデータや、SNS上のコメントを分析。価値観の分析やナショナルブランド(NB)との比較などを行い、MKカスタマーで提供していた商品のリブランディングを中心にここまで商品を展開している。
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