「居心地の良さ」とは関係ない!? 心理的安全性に潜むいくつもの“誤解”とは:カギは「上司コミュニケーション」(1/2 ページ)
Googleが調査結果を発表したことで注目を集める「心理的安全性」。その一方で「メンバーの親密度を示すもの」「居心地のよさを測るもの」といった誤解も多いのだとか。組織行動研究所の今城志保主任研究員が行った発表を基に、調査によって明らかになっている心理的安全性の効果や、職場の心理的安全性の高め方などを解き明かす。
Googleが調査結果を発表したことで注目を集める「心理的安全性」。何でも、心理的安全性の高いチームは業績もよいのだという。ただ、リクルートマネジメントソリューションズの組織行動研究所で主任研究員を務める今城志保氏は「心理的安全性は誤解されがち」と話す。単にメンバーの親密度や、居心地の良さを指すと誤解している人も多いのだとか。12月5日にリクルートマネジメントソリューションズが行った発表会を基に、心理的安全性を解き明かしていこう。
今城氏によると、心理的安全性という概念を提唱したのはハーバードビジネススクールのエドモンドソン教授。そもそもの概念を直訳すると、「チームにおいて、他のメンバーが自分が発言することを恥じたり、拒絶したり、罰を与えるようなことをしないという確信をもっている状態であり、チームは対人リスクをとるのに安全な場所であるとの信念がメンバー間で共有された状態」となる。かみ砕くと、「発言することに脅威を感じていない」、かつ「職場の全員がそう感じている状態」を指す。この2つのうち、特に後者が難しいのだという。
「多くの企業では、ベテランがのびのびと発言しているケースが多い。一方で、委縮している若手がいることは容易に想像できる。これでは、心理的安全性の高い状態とはいえない」と今城氏は話す。こうした状況を打開するために、部下に対して「何でもいいから意見をいってみて」と発言を促す管理職も少なくないだろう。
しかし、この発言は根本的に心理的安全性を高めることにつながらないのだという。なぜなら、発言を促された部下は上司だけでなく、同僚など他の人の目も気にするからだ。「上司と部下の個人的な関係であれば問題ない。しかし、他の人がどう感じるかという点が心理的安全性を高めるために重要だ」と今城氏は指摘する。では、どうすれば職場の心理的安全性を高めることができるのだろうか。
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