鉄道業界に「バーチャル背景」ブーム 外出自粛で薄れる存在感、“つながる”一手に:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/6 ページ)
テレワークの普及で広まったオンライン会議ツール。鉄道各社が相次いで「バーチャル背景」を配布している。外出自粛によって鉄道の存在感が薄れる中、ビジネスパーソン向けコンテンツを発信することで、親しみを持ってもらう狙いがあるようだ。
鉄道ファン納得の9枚、西武鉄道
5月13日にバーチャル背景を公開したのが西武鉄道だ。プラットホームに停車中の電車の背景を使えば、まさに駅にいる気分。他に電車の並び、車両基地内部など普段立ち入れない場所の風景を見せてくれる。鉄道ファン向けには「初代レッドアローと351系の並び」「101系と30000系の並び」がうれしい。鉄道ファン納得の9枚。
車両基地内の背景を使う時はヘルメットを着用すると臨場感が出そうだ。西武鉄道のコーポレートメッセージは「あれも、これも、かなう。西武鉄道」だ。鉄道マンになる夢がかなうかも。また、西武グループのグループスローガンは「でかける人を、ほほえむ人へ。」。西武鉄道は子ども向けコンテンツ「西武鉄道KIDS」で主力車種のペーパークラフトなどを展開しており、今では「おうちの人も、ほほえむ人へ。」である(うまいこと言ったつもり)。
地下鉄トンネルに入った気分、東京メトロ
東京メトロの背景は、地下鉄らしく「シールドトンネルの中」「車両基地内部」などが興味深い。「銀座線初代車両内部」は暗めで、人物合成時の相性が良さそうだ。銀座線渋谷駅新プラットホーム、改札口、きっぷ券売機はニュース番組のレポーターの気分になれそう。東京駅出入り口からの青空が爽快だ。「丸ノ内線歴代車両の並び」「千代田線6000系と有楽町線・副都心線10000系の並び」も貴重な場面だ。
東京メトロはバーチャル背景のほかに、各路線の主力車両の壁紙も配布している。PCのデスクトップ用に作られた作品だけれども、バーチャル背景に転用できる。(関連リンク:東京メトロ)
日暮里舎人ライナーが涼しげな、東京都交通局
東京の地下鉄といえばもう一つ、東京都交通局がある。「大江戸線車両基地」「新宿線車両基地」のほか、「都営バス車両基地」がバスファンにもうれしい。「荒川の水辺から見上げる日暮里舎人ライナー」は涼しげで、初夏の季節にふさわしい。
関連記事
- 「電車通勤」の歴史と未来 ITとテレワークで“呪縛”は解けるか
新型コロナウイルスの感染拡大によってテレワークが広がった。外出自粛から解放されたときにはどうなるか。それは「電車通勤」の在り方に関わる。長時間の満員電車が当たり前というのは“呪縛”だ。電車通勤が根付いた歴史を振り返ってみると…… - 電車を止めよう――勇気を持って主張したい、3つの理由
緊急事態の今、感染拡大を食い止め、医療と社会を立て直すために必要なのは、電車を止めることだ。そこまでするべき理由は「感染」「名誉」「経営危機」の3つ。大変なことではあるが、「通勤を止める」「生活費を支給する」方法がないわけではない。 - 新型特急「Laview」が拓く、“いろいろあった”西武鉄道の新たな100年
西武鉄道は新型特急「Laview」を公開した。後藤高志会長は「乗ることを目的とする列車に」と強調。西武特急に対する危機感が表れている。この列車の成功こそ、“いろいろあった”西武鉄道を新たな100年へと導く鍵となりそうだ。 - 小田急ロマンスカー「GSE」が映す、観光の新時代
小田急電鉄は来春から導入する新型ロマンスカー70000形「GSE」を発表した。第1編成が3月から、第2編成は第1四半期早期の導入予定。製造はこの2本の予定だ。フラッグシップの特急を同じ車両で統一しない。小田急電鉄の考え方が興味深い。 - 東京圏主要区間「混雑率200%未満」のウソ
お盆休みが終わり、帰省先から首都圏に人々が帰ってきた。満員の通勤通学電車も復活した。国も鉄道会社も混雑対策は手詰まり。そもそも混雑の認定基準が現状に見合っていないから、何をやっても成功できそうにない。その原因の1つが現状認識の誤りだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.