鉄道業界に「バーチャル背景」ブーム 外出自粛で薄れる存在感、“つながる”一手に:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(6/6 ページ)
テレワークの普及で広まったオンライン会議ツール。鉄道各社が相次いで「バーチャル背景」を配布している。外出自粛によって鉄道の存在感が薄れる中、ビジネスパーソン向けコンテンツを発信することで、親しみを持ってもらう狙いがあるようだ。
オンライン飲み会をさらに盛り上げる一工夫
バーチャル背景の中には、車両基地や普段立ち入れない場所もある。パーティーでこれらを使うなら、ヘルメットを着用するとそれらしい雰囲気になる。実物のヘルメットを使わなくても、「Snap Camera」というアプリに入っているレンズというフィルター機能を使うと、自分の画像に特殊効果を与えられる。しかし、今のところ、日本の工事現場で使うような「黄色いヘルメット」のレンズは見つからなかった。
筆者の友人で鉄道模型の達人、CAD鉄こと斉藤正宏氏は西武鉄道の特急車両「Laview」を被っていた。これは、レンズを自作できる「Lens Studio」という開発キットを使い、鉄道模型を作るために自作したLaviewの3Dモデルを組み合わせたそうだ。背景のLaviewの室内も自分で撮影したという。
筆者もバーチャル背景を収集しつつ、旅で撮影した写真を使っている。その中では近鉄の新型特急「ひのとり」の車内がお気に入りだ。ところが先日、テレビ番組のコメント取材を受けたところ「自宅感がほしいので背景素材はナシでお願いしま〜す!」と言われてしまった。とほほである。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。
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