コロナ禍での支払いの優先順位:集中連載 新型コロナで経済死しないための方法 (4/4 ページ)
零細経営者が切羽詰まるのはどういうときか? それは入金のあてがないか、極めて限られており、一方で支払いが多くてどうにもならない場合だ。特に商いのメインだった仕事が急に止まると、にっちもさっちも行かなくなる。だから借り入れなどで、一時的に残高が増えたからといって、気が大きくなってどんどん払ってはいけない。払う順番をよく吟味しなくてはならない。
優先すべき支払い
つまり税金の支払いと銀行への返済は、条件付きながら優先順位を落とすべきだ。だとしたら何を優先すべきなのだろうか?
上で挙げた3つのケースのいずれにせよ。あなたはこの先の人生を生きていく。そして多分、全てを諦めて一生を生活保護で終わるか、もう一度奮起して起業するかの2つに1つしか道はなさそうに思える。新たに事業を始めるとしたら、きっとあなたを救うのは、今の人脈とノウハウだ。だから再起の時に、あなたが必要とする仕入れ先や人材や友人は、裏切らない方がいい。支払いで優先すべきはそういう支払い先だ。それは未来への支払いだといってもいいだろう。
銀行は、また条件を整えれば取引してくれるし、今の銀行じゃなくても他にいくらでもある。そして、残念ながら税務署は「お前とは二度と取引しない」とはいってくれない。どんなに邪険にしても関係は切れない。国を舐(な)めて高を括るのは危険だが、できないことはできないと言って話し合うことを躊躇(ためら)う必要は全くない。
ひとつだけ言えることがあるとすれば、仮に関係性が終わる取引先(それは銀行などを含む)があったとしても、必要以上に印象を悪くする必要はない。取引の終了をいいことに、後足で砂をかけるようなことはすべきではない。
できないことをできないと正直に言うのは良いが、ウソは決してつかないことだ。そういう恨みは必ず返ってくる。
次回は、債権回収の変化について書く予定だ。あなたが負債を整理する時、もう怖い人は決して来ない。その理由を説明しよう。
筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)
1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。
以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う。コメント欄やSNSなどで見かけた気に入った質問には、noteで回答を行っている。
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