借金を返せなくてもヤクザは来ない:集中連載 新型コロナで経済死しないための方法 (2/3 ページ)
資金繰りに行き詰まり、お金が払えなくなったらどうなるか? 「ナニワ金融道」張りの怪しい面々にあの手この手でハメられたり、暴力団がやってきて昼夜を問わずドアをたたかれたりするのではないかと想像する人がいるかもしれないが、それはもう過去の話である。「債権管理回収業に関する特別措置法」によって生まれた債権回収会社(サービサー)について紹介しよう。
そういう法の真空地帯に入り込んだのが反社会的勢力、いわゆる暴力団だ。暴力団は、債権者から大幅な値引きをさせて買い取った債権をたてに、未払金は元より、高額の延滞金利まで債務者に払わせた。利ザヤは大きい。まさに暴力団が脅しと暴力を換金するのに打ってつけのビジネスだった。そうして、不幸なことに、債権回収といえば暴力団という時代が長く続くことになったのだ。
当然それは社会問題化する。真面目な中小企業の経営者は、暴力団が出てくればひとたまりもない。そうした数々の問題を解決するためには、新たな事業が必要だった。本来の法律では弁護士が請け負う形になっているが、実態にそぐわず、その隙間に必要悪ともいえる形で暴力団が入り込んでいたことになる。暴力団を排除しようと思えば、代わりに、社会に親和的かつ、現実的に債権処理が行える民間の債権回収専業の事業体設立が必要になる。
債権の滞りは通常の商取引の中でどうしても発生する。そこで、関係者全員にとってスムーズでスピーディな高い利便性がありながら、新たな理想である債務者保護を確保するために、弁護士法の特例としてできたのが、「債権管理回収業に関する特別措置法」であり、その事業体として設立されたのが債権回収会社(サービサー)で、債権者から債権を買い取り、債権を回収する事業者である。
この法律の施行によって、法務大臣に許可を受けて、民間企業がサービサーを設立することが解禁された。そして、このサービサー制度から暴力団を徹底追放するために厳重な措置が取られた。
サービサーは、法務省、警察庁、日弁連というトライアングルにバックアップされ、各々緊密に連携を取りながら事業を行う。サービサーの設立に際しては、警察庁が全役員の身元調査を行う。これは設立時のみならず定期的に調査確認され、暴力団排除の趣旨が徹底されている。
また弁護士法の特例という背景から、サービサーの取締役には、日弁連や地元弁護士会による身元確認済の弁護士を必ず入れることになっている。さらに資本金に5億円という最低条件を設け、資本の面からも暴力団が簡単に入って来られないようにした。
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