デバイスも自宅へ発送する徹底ぶり 「フルリモート」で入社式と新人研修を実施したサイボウズ、その裏側:2月時点で複数シナリオを想定していた(4/5 ページ)
新型コロナウイルスの影響を受け、入社式を延期したり、入社自体を後ろ倒しにした企業も少なくない。そんな中、サイボウズはフルリモートで入社式・新人研修を行った。デバイスの受け渡しだけは出社して行う企業がほとんどだが、サイボウズは新入社員の自宅へ送るほどの徹底ぶりを見せた。これまでにない取り組みで、どんな発見があったのか。
これまでにないフルリモートでの新人研修
「これまではリアルで会えるので、飲みに行ったり、ランチでわいわい話したりということができましたが、Zoomだとそれができません。そのため、人の顔と名前がなかなか一致しないのです。そこで、kintoneで自己紹介アプリを作り、Zoomで質問し合いながら、その人についての情報をコメントでためていくといったワークをしました。後でアプリを見れば、その人がどんなことが好きで、どんな価値観を持っているか分かるようにしたのです
また、『テキストコミュニケーション研修』も新たに実施しました。今年は動画でビジネスマナー研修もやったのですが、育成チームで話し合ったときに、『マナーは何のためにやるか』という話題になりました。他社の方と接する時に、最低限不快な思いをさせないようにして、コミュニケーションを円滑にするものだと考えると、むしろアフターコロナの時代では、テキストコミュニケーションをするときに、伝えるときの心構えの考え方や文章の書き方といったスキルセットが必要になります。社内にはテクニカルライターをはじめ文章を書くプロがたくさんいるので、研修を実施できました」(高木氏)
一方、テレワークになったことで、これまで実施していた「問題解決メソッド」というグループワークが実施できなかったという。これは付箋を使ったワークで、当初は新型コロナウイルスが収束した後に、フォローアップ研修としての実施を考えていたそうだ。しかし、新型コロナウイルスの影響がどこまで続くのか分からない状況になったため、このワークもkintoneアプリでできないか、検討中だという。kintoneのテーブル機能を活用すれば、Web上でも付箋を貼るのに似た作業は行える。「サイボウズ流の研修ができないかと考えています」と高木氏。
また、もともとオフピーク出社に合わせてカリキュラムを構築していたのだが、テレワークになったことで、新入社員は9時から業務ができる。そのため「kintone認定 アソシエイト 試験対策テキスト」を送付し、空き時間で自習したもらうなどの工夫もしたそうだ。
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