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社員の肩書でじわりと盗む 組織に入り込んでいく、中国・経済スパイの実態世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)

中国のスパイ活動を巡って、米中の対立が激化している。米国は以前から知的財産などを盗まれてきたが、日本ももちろん例外ではない。研究者や社員といった肩書を持つ協力者が重要な情報をじっくり盗んでいく。そういったケースが各国で判明している。

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研究者や学生、社員の“肩書”を使って情報を盗む

 実は、今回のヒューストン総領事館の封鎖命令の翌日には、米国内で中国政府系のスパイが何人か逮捕されていたことが発表されている。

 FBI(米連邦捜査局)は7月23日、最近4人の中国人留学生を逮捕していたと明らかにした。容疑は、人民解放軍との関係を隠してビザを獲得し、カリフォルニア州とインディアナ州の大学に入り込んでいたことだ。そのうちの1人は、6月20日にFBIから取り調べを受けた後に、サンフランシスコの中国総領事館に逃げ込んでいたが、結局逮捕された。

 別のもう1人は人民解放軍の将校で、医学研究者になりすましてカリフォルニア州の大学に留学していたとしてロサンゼルスの空港で逮捕されている。

 これは中国スパイの典型的な手口の一つで、研究員や学生といった肩書で米国の大学や研究機関に入り情報を盗む。これまでもいくつものケースが報告されている。

 2018年にはイリノイ州で留学生を装って入国した中国人が、在米中国人の情報を集めたり、彼らを協力者にリクルートしたりするなどの諜報活動を行っていて逮捕された。この人物は、中国の諜報組織である国家安全部(MSS)のスパイで、米軍関連の情報なども盗もうとしていたことが判明した。

 19年8月には、米カンザス大学で、中国系の教授が中国の大学との近い関係を隠し、情報を流していたとして起訴されている。19年12月には、ハーバード大学に留学していた中国人のがん研究者が、がん細胞の入った生物試料の瓶を21本も隠し持って中国に帰国しようとして逮捕されたケースもある。

 民間でも、15年にはIBMの元社員だった中国系の人物がソフトウェアのソースコードを中国側に渡したとして逮捕されているし、16年には原子力関連の開発に技術を提供するなど関与したとして、帰化した中国系米国人が逮捕された。18年にも、潜水艦に関連する機器を中国に送ったとして中国人が逮捕されている。

 また、こんなケースもある。18年10月にはMSSの中国人スパイが堂々と、米航空関連企業から情報を盗み出そうとしたとして、オハイオ州で逮捕されている。また、ダイアン・ファインスタイン上院議員の運転手が中国のスパイだったことが判明し騒動に。19年9月には、カリフォルニア在住の中国系米国人のツアーガイドが、ホテルの一室で政府の機密情報が入ったUSBデバイスを受け取り、飛行機でMSSの元に運ぼうとしたところを逮捕されている。

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