新たに中途採用へ乗り出した「防衛省」 いったいどんな選考でどんな人を採用したのか?:コロナ機にテレワークも進む(2/4 ページ)
防衛省が初の中途採用へ乗り出した。他の中央省庁でも進む中途採用だが、その狙いや手応えとは? また、国家の中枢である防衛業務を担う人材を、どのような選考で採用し、どのような人が入省したのか。採用担当に聞いた。
防衛省、どんな仕事を担っている?
そもそも、防衛省ではどういった業務を行っているのか。
森田氏によると、まず根幹となるのが「情報収集」だ。国を守りぬくために必要な世界情勢など、あらゆる情報を収集し、さまざまな変化が日本にどう影響するのかを分析する業務を指す。そして、その情報を基に具体的な戦略・政策を立案する業務や、立案した戦略を実行するために必要となる部隊や装備品の調達も必要になる。さらに外交や、最近では頻発する災害時に隊員を派遣することも多い。
森田氏は「安全保障の世界は10年単位で変化する」と話す。最近だと、14年にこれまでの「武器輸出三原則」に代わる「防衛装備移転三原則」が制定されたことなどが記憶に新しい。また、宇宙やサイバー領域、電磁波などこれまでになかった分野での安全保障の必要性も高まりつつある。
「変化とともに、当然仕事の幅が広がる。最近はいろいろな国との付き合いも広がってきている。一生懸命やってはいるが、変化に対応する必要もある。そのために多様性のある組織を作りたいと考えた」と、中途採用に乗り出した背景を森田氏は話す。
コロナ受け、テレワークも進んだ
とはいえ、防衛省が何も変化していないということではない。最近では民間企業におけるテレワークが話題だが、防衛省でもコロナ禍を機にテレワークが大きく進んだ。
当然、機密文書など取り扱いに注意が必要なものに関しては持ち出しができないが、企画資料の作成であったり、他省庁との渉外業務に関しては在宅で行うことも増えた。緊急事態宣言が出てからは、1日ずつの交代制などで在宅勤務を行っているという。昨今話題の「紙とはんこ」については、「(業務の中で)紙を扱うことはやはり多い」と笑いつつ、プロジェクトチームを立ち上げて見直しを始めている。
また、採用活動についてもコロナ禍を受けて、Webでの対応を中心にシフトしている。これまでも地方在住の学生などに対してWeb説明会などを行っていたが、面接などもWebで行っていく予定だ。
関連記事
- テレワークで剥がれた“化けの皮” 日本企業は過大な「ツケ」を払うときが来た
テレワークで表面化した、マネジメント、紙とハンコ、コミュニケーションなどに関するさまざまな課題。しかしそれは、果たしてテレワークだけが悪いのか? 筆者は日本企業がなおざりにしてきた「ツケ」が顕在化しただけだと喝破する。 - モノプソニーだけじゃない 「日本人の給料安すぎ問題」に潜むこれだけの原因
デービッド・アトキンソン氏の記事によって話題になった「日本人の給料安すぎ問題」。氏は原因を「モノプソニー」でひもといたが、給料が安すぎる原因は他にもさまざまある。前後編2回に分けて、ブラック企業に詳しい新田龍氏が解説する。 - 増えるストレス、見えた希望――コロナショックを機に、働き手の“反乱”が始まる?
新型コロナウイルスの感染拡大を機に、働き手の意識が変わった。テレワークも浸透し、仕事よりも生活を重視する層が増えている。一方、企業の腰は重く、働き手との「意識の差」がどんどん開くかもしれない。このままいけば、抑圧されていた働き手の反乱が始まる可能性がある。 - コロナ禍転職不況、中でも「特に厳しい意外な人材」とは?――独自データで分析
コロナ禍で転職市場が悪化、急速に買い手市場に。中でも求人が特に激減している「人材の層」があるという。dodaの独自データから分析。 - スパイは社員に紛れている! 三菱電機、ソフトバンクの情報漏洩が人ごとではない理由
三菱電機やソフトバンクの社内情報が、サイバー攻撃やスパイによって流出したことが報じられた。だが、このような手口は最近始まったことではないのが現実だ。日本の全ての企業が標的になっていると考えて対策に乗り出さなくては、どんどん喰い物にされてしまう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.