「カメラ事業売却」の衝撃 業務提携中のオリンパスとソニー、祖業を巡る両社の分岐点とは?:コロナ禍で好対照(3/4 ページ)
カメラ映像事業の売却を発表したオリンパス。好対照なのが、業務提携関係にあるソニーだ。コロナ対応を巡る両社の分岐点とは?
オリンパスは祖業を手放す
一方で同じ世界的著名企業であるオリンパスからは6月に、カメラ映像事業の売却が発表されました。スマートフォンのカメラ機能の向上によるカメラ事業の低迷と、折からのコロナ禍による売上減少で苦渋の決断を下した、というのが実情のようです。
オリンパスはカメラ市場の縮小もあり内視鏡をはじめとした医療機器事業が稼ぎ頭となって久しく、現在カメラを含む映像事業は売上で1割未満にまでの縮小を余儀なくされてきました。今回の事業売却により、同社は事業の「選択と集中」を一層すすめ投資効率を高めていくとしています。目先の収益が改善するとの見通しから直後の株価は好反応しましたが、果たして今後はどうなるのでしょうか。
オリンパスのカメラ事業には80年超の歴史があります。カメラが庶民からはまだ「高根の花」だった高度成長期に、「月収の半額で買える」をコンセプトにしたPENシリーズや、誰でも簡単にきれいな写真が撮れる軽量一眼レフカメラOMシリーズなど、業界を席巻したヒット商品を持つ名門部門でもあります。つまりオリンパスにとってカメラ事業は、紛れもない「祖業」なのです。
祖業は企業発展の歴史そのものであり、企業文化を支える魂が宿っています。個人的には、コロナ禍の影響で業績は下降線にあるとはいえ事業売却を余儀なくされるほど苦しい状況ではない中で、なぜ祖業を手放すのか、と疑問に思いました。しかも今回の売却は、部門を黒字化が見込めるよう構造改革したうえで引き渡すという条件であるとも報じられており、事業見直しによる黒字化が可能な状況下であえて今「祖業」を売り渡すことは著しく理解に苦しむところです。
「祖業」売却で頭に浮かぶのは、かつてのステレオメーカー御三家のパイオニアです。同社は15年に業績不振から「祖業」であるホームオーディオ部門を売却し、カーエレクトロニクス部門に資本を集中投下する戦略に打って出ました。
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